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友愛

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◇友愛
アリストテレスは『ニコマコス倫理学』の後半部(8-9巻)で、「友愛(フィリア)」について論じている。

「事実、もしひとびとがお互いに親愛的でさえあれば何ら正義なるものを要しないのであるか、逆に、しかし、彼らが正しき人々であるとしても、そこにやはり、なお愛(引用者註--フィリア、友愛)というものを必要とする。まことに、「正」の最高のものは「愛という性質を持った」それ(フィリコン)にほかならないと考えられる」(アリストテレス(高田三郎訳)『ニコマコス倫理学(下)』(岩波文庫、1973年))。

すなわち、人間は互いに友だちの関係(=友愛状態)であれば、もはや正義は必要ない、しかし、正義の人であっても、なお友愛が必要である、とのアリストテレスの言葉である。アリストテレスにおいて友愛こそが正義の基盤にあってそれを支ている。

今年の夏は暑かった(まだ暑い)。本当に暑い・熱い夏の間、初めての夏期スクーリング担当講師として奮戦しました。講義の4日間は、講義時間だけでなく、学生さんたちとの交流の中から、逆にこちらが学ばせていただいたひとときであった。

ある学生さんが言っていた。
「スクーリングに参加しているときは、励まし合う仲間がいて前へ進むことができるが、いざ田舎に帰って一人レポートを前にすると“孤独”を感じてしまう。が、それは自分一人ではない。ほかの仲間たちも同じである。だからこそ、こうしたスクーリングの場で会ったとき、再会したとき、一生涯つづくつながりがはぐくまれるんです。そしてお互いを励ます仲間になれるんです」。

近代以降の社会契約思想は、いわば友愛ぬきで正義を構築しようと試みるが、アリストテレスにおいて友愛とは欠かせない原理である。書物の世界の話でなく、リアルな友愛の重要性を実感した4日間であった。

拙い講義を聴いてくださり、本当にありがとうございました。
しかし、本当に暑かった・・・

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