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三つの“ぽう”

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◇静寂を破る
先週の噺ですが、女房と子供が20日あまり、実家に帰省しており、その間は一人暮らしを満喫しておりましたが、いよいよ、その先週ですけど、宇治家さんの静寂を破る嫁さんと息子さんが東京へ帰ってきた。久しぶりに逢った為、子供は大はしゃぎで、私と戯れながら、一段落つくと、ウルトラマンに集中し始めました。その姿を見守ると、集中する対象の善し悪しは別にしても、その集中力は、そら恐ろしいほどの集中力だなと実感します。嫁さんの方は暑さでやられ、へなへなになっていました。 またそのふたりのパワーに圧倒された参去さんもへなへなです。

◇3つのぽう
嫁さんについでに、新渡戸稲造がおもしろい文章を残しているので、一つ。

「私の知人の世の中を永く見た人が言うたことがある、世の中は三つのぽうで治まッておる。一つは鉄砲、これはマア吾々が今日新聞を取ッて見てもすぐ分る。第二は説法というので即ち宗教というのであろう、本願寺を始めとして到る処に建ッておる教会を見ても分る。第三のは女房というやつ、これは恐ろしい勢力を持ッておるものだそうです。この三つのぽうで世の中が治まッておるのであるという。このうちに最も勢力のあるという女房というのは、マアこの辺から出られるのであろう。」
   新渡戸稲造(鈴木範久編)『新渡戸稲造論集』(岩波文庫、2007年)

これは新渡戸が津田梅子の女子英学塾(現在の津田塾大学)第三回卒業式で行われた演説の講演筆記である。題目は「人格の養成」。ユーモアに富んだ新渡戸の演説にさぞ学生たちも喜んだことであろう。ちなみに新渡戸は津田梅子と親しく、津田の英学塾では「アンクル・ニトベ」と呼ばれ、たびたび講演をおこなっている。

さて、いうまでもなく、世の中を構成する三つのぽう〔鉄砲(武力)、宗教、女房(女性)〕をどのように扱っていくのか。この話題は新渡戸に限らず、現代においてもなお真摯に考え、追求されるべきテーマである。古来、この3つのぽうは、乱暴な言い方をすれば、国家に代表される権力がいかにうまく支配していくか、という支配・管理の対象であった。歴史を振り返りながら権力による管理の功罪を勘案した場合、今日においては、どのようにつきあっていくのがよいのか考えた場合、それは国家や権力による管理に任せるのではなく、一人一人の民衆が自分自身で考え、それと自分との関係においてよりよき生きる流儀を身につけるべき問題であるように思われる。
特にさいごのぽう--この問題は、自分自身にとっても切実な問題である。嫁さんが元気で、一家の中で生き生きとした太陽のような存在でありつづければ、家庭の些事は吹き飛ばされる。そのように扱い(?)、接していく、そのような環境を維持するのが、愚夫の努めなのかなと、思ったりもします。

しかし、朝、乱暴に起こされる(そうでないと起きられない自分にも問題があるが)のは、結構つらいです。

新渡戸稲造論集 (岩波文庫 青 118-2) Book 新渡戸稲造論集 (岩波文庫 青 118-2)

著者:新渡戸 稲造
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投稿: 宇治家 参去 | 2008年6月 6日 (金) 02時40分

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