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真理はア・ポステオリか

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第2回講義無事終了する。
本日は、哲学という言葉の語源(=智を愛する)に注目しながら哲学とは何かを講ずる。最初に世間で哲学という言葉が使われる場合(例えば、ある企業の経営“哲学”とかあるスポーツ選手の勝負“哲学”など)を分析し、一般的にどのような意味で使われているかを確認した。その上で、学問の世界ではどのように使われているのか、たとえとして、プラトン、デカルト、カントの場合を考察し、一般世間で使われる場合と、学問の世界で使われる場合の共通点・相違点を見直すことで、哲学という言葉の意味を考えてみた。

すなわち、広い意味では、哲学とは、何かを行う時の基本的な考え方・原理原則・ポリシーといった意味合いだが、それは限られた範囲で通用する基本的な考え方・ルール・原理原則という意味合いのようだ。例えば、A社の経営哲学をB社は適用する必要がないように。
しかし、どうやら哲学者(特に現代以前)が哲学という言葉を使う場合、同じように、何かを行う時の基本的な考え方・原理原則・ポリシーといった点では共通しているが、限られた範囲で通用するルール・原理原則ではなく、すべての人にかかわってくる原理原則・根本原理を探求しているように思われる(もちろんこうした側面の暴力性が現代哲学では批判されるわけですが)。そこが大きな違いではないかと思います。
さてそこで問題なってくるのが、そういう(西洋)哲学の持つ暴力性の問題(自分と全く異なる他者を自己へ同一化してしまう視座)を勘案しながらも、では、誰にでも通用するような共通了解はあるのか、果たしてそれは可能なのか、その点は深く考えていく必要があると思います。

哲学者のいう、誰にでも通用するような基本的な考え方とか原理原則といったものは、おそらくプラトンが考えたような形でア・プリオリに人間の存在に先立ち、所与のものとして存在するのではないと宇治家さんは思っています。そうではなく、ひととひとが対話によって、機軸を共有しながら、なんらかの考え方を、ひとりのものだけにするのではなく、みんなも納得できるような共通了解にもっていく努力のなかで、ア・ポステオリに立ち現れてくるのではないかと、ぼんやりと漠然と、そう思っています。

それが、おそらく哲学・学者ではなく、哲学者に課せられた使命なのかとは思いますが、いずれにせよわかりやすい講義をしていきたいと思う宇治家さんです。

ちなみにプラトンが語っている哲学者像を最後にひとつ。
「哲学者とは、つねに恒常不変のあり方を保つ存在にふれることのできる人びとのことであり、他方、そうすることができずに、さまざまに転変してやまぬ事物の中でさまよう人びとは哲学者ではない」
    --プラトン(藤沢令夫訳)『国家 下』(岩波文庫、1979年)

ただし、先週以来、風邪が全く治らず、体調はよくないが、ようやく秋らしくなり、過ごしやすいので体力的にはなんとか持ちこたえる。しかも本日含め市井の仕事が三連休。ようやく遅い夏休みです。
論文の締切は終わったのですが、今度は博士論文の目次の提出リミットが迫っているのでそちらに手をいれようと思いますが、とりあえず1日はのんびり過ごそうと思います。

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