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マエサワの大連  

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 かつての日本の植民地の中でおそらく最も美しい都会であったにちがいない大連を、もう一度見たいかと尋ねられたら、彼は長い間ためらったあとで、首を静かに横に振るだろう。見たくないのではない。見ることが不安なのである。もしもう一度、あの懐かしい通りの中に立ったら、おろおろして歩くことさえできなくなるのではないかと、密かに自分を怖れるのだ。
 それは、彼が生れ、幼年時代と少年時代を送った町である。いや、それだけではない。第二次大戦があと五箇月ほどで終ろうとしていた頃、東京のある大学の一年生であった彼が、抑えがたい郷愁にかられ、病気でもないのに休学して舞い戻った、実家のあった町、そして、やがて祖国の敗戦を体験し、そのあと三年もずるずると留ることとなり、思いがけなくも結婚した町である。
 もっとも、今は、地図や地球儀を眺めても、大連という都会は見つからない。かつて大連と印刷されていたあたりには、旅大という名前が見えるだけである。手頃な辞書をひけば、旅大についてはこんなふうに簡単に書かれているだろう。――中国東北区遼寧省の遼東半島の西南端にあり、大連、旅順、金州、そしてその周辺をあわせた市で、ほぼかつての日本の租借地であった関東州にあたる。

    --清岡卓行『アカシヤの大連』(講談社学芸文庫、1988年)

生まれ育った町でも、長く住んだ町でもない、都下の雑踏のなかで夜風に吹かれながら、「マエサワ(東久留米市前沢)の大連」をめざす。
昨日、終業後、かなり腹が減ったので、バイト君で地元っ子へ、24時以降も開(や)っている安くてうまい店はないのか?とヒアリングの上、ニャンじょーとレッツらゴー。

深夜にもかかわらず大盛況。
屋号が「大連」(前沢店)にもかかわらず、中華屋というよりも定食屋。街道沿いのせいか、朝6時までの営業。しかしその4時間後には開店という20時間営業の定食屋である。

メニューも中華やラーメンだけでなく、酒の肴も豊富で、まさに肉体労働者の居酒屋の風情をかもし出し、結構お客さんが入ってる。帰宅途中のサラリーマン、長距離トラックの運ちゃん、ガテン系の陽気な若者集団、そして、閉店後のお客さんと流れてきたスナックのママさん集団。独り浮いているのが宇治家さんとニャンじょーさんでした。

さて、とりあえず、ビールで乾杯。宇治家さんは、焼き餃子と冷や奴で一杯やりつつ、〆にしょうゆラーメン。ニャンじょーさんは、肉辛味噌炒め定食+らいすおかわりでがっつり食らう。ビール二本飲んで、適当にくっても3000円。ボリュームの割に安い。下手なチェーン店の居酒屋でいっぱいやるよりは魅力的です。

ただ量が多すぎ。

神無月の夜空に乾杯!

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著者:清岡 卓行
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