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おやすみなさい おつきさま

P1020213

 月曜日が、宇治家参去的には一番きつい一日ですね。

 土・日が、市井の仕事で24時まで勤務、月曜が昼から大学で講義。
 講義が終わると、そのまま市井の仕事で、心身とも疲れます。
 といっても……ま、家族を養っていく責任と共に自分が選んだ道でもありますので、正面からその現実を受け止めて、こなしていくしかないわけですけど。

 さて、今日は、『哲学入門』の方ですが、先週までで一通り哲学(史)の流れを概観しましたので、中盤の今回は、「哲学と文学」と議題を掲げて講義する。

 いつの時代になっても、年嵩の世代から若い世代への訓戒として、いわれるのが「本を読め」ということ。そこで、いつも、講義の中盤で、何故、本を読んだ方がよいのか、時間を割いて話すようにしております。何故なら、世界的な名著を読んでいる若い人(わたしもまだ若いと思っているのですが)が少なくなってきているのを実感するからです。とはいえ、やはり教室には一人か二人は、“おっ”と言わせるような“まともに読んでいる人”もいますのでまだまだ大丈夫なのでしょうかね。

で……
 哲学が人の考え方や生き方、社会への関わり方を決定するのと同様に、若き日の文学体験(=古典名著の読書)は、その人間の一生の土台になると思います。
哲学は最高の文学であり、すぐれた文学作品は、そのまま偉大な哲学書である。そこには、人生の透徹した智慧、社会のあり方、人間の持つ偉大さと愚かさ等々――が描かれており、総じて言えば“人間という存在の探求”が偉大な文学と哲学に共通した要素ではないかと思います。

 パスカル曰く「人間は考える葦(あし)である」(『パンセ』)。その「考える」ためには読書が不可欠である。読書こそ“考え行動する”人間の証であり、「人間だけができる特権」であると思います。また人間に与えられた時間は有限である。生まれた瞬間から史に向かって歩き続けているわけだから、すべての出版物に目を通すことは不可能だ。であるならば、読む本も心して選ぶ必要がある。

 そういう話をしたわけですが、一番インパクトがあるのは、実際にそれを数字で示してみせる時です。

 たとえば……
 年平均50冊(=月平均だいたい4~5程度)の本を読む18歳の女性がいたとする。その人が80歳まで生き、同じペースで読書を続けたとしても、死ぬまでに読める本は3100冊である。
 学生さんが月4-5冊読む、というのは現実には大変な作業のようで、それにも驚きますが、それだけ読んだとしても、死ぬまで読むことのできる量が3100冊だと知ると、みな一様に驚きます。月4-5冊は大変だけど、それで読み続けても死ぬまでに3000冊程度なんて--、そんなかんじです。

 読みたい本を勘定していくとすぐさま3000冊なんて超えてしまう。岩波文庫を全部読もうなんて思ってみても、総刊行点数はすでに5000冊を突破している。

 まさに有限です。

 であるので、一冊の良書との出会いを大切にしたいものです。

 これに奮発され、是非、学生さん(だけでなく平蔵さん自身もですが)、良書に挑戦する日々を積み重ねていきたいところです。

 では、疲れてきましたので、そろそろ寝ましょうかね。

「おやすみ おへや」
   「おやすみ いすさん」
      「おやすみなさい おつきさま」

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