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「葡萄のみのり」

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「葡萄のみのり」
思ひ出の空虚なる時
頭の中に歌う秘言、
聴け、そは、わが血の歌ふ声…
はるかなる幽けき、音楽。

霊魂の飛び立ちし時、
聴け、そは、わが血の咽び泣き、
曽て聞きたるためしなく
いくほどもなく 黙す声。

赤き葡萄の血のうから、
かぐろき脈の 葡萄酒よ、
おお酒、おお血、神と崇めむ。

歌へ、泣け、思ひ出を逐ひ
霊魂を遣らひて、暗闇に
哀れなるわが脊椎を呪縛せよ。
    --P.ヴェルレエヌ(鈴木信太郎訳)『ヴェルレエヌ詩集』(岩波書店、昭和28年)。

さて、いよいよ解禁ですね。ワインも時々楽しむ宇治家参去さんです。取り立てて、ボジョレーが好きというわけではありませんが、旬のものを旬に楽しむことは大事です。

春は筍、夏はトマト、秋は松茸、冬の白菜……。
一年中楽しむのは、日本酒とビールですが、それにアクセントを添えるのが、ワインでしょうかね。

本日、23時より解禁の準備を終え、先ほど帰宅しました。
陳列されたワインたちは、まるでお花畑のようです。

さて今年はどんな味でしょうかね。

冒頭の「葡萄のみのり」は、フランスを代表する象徴派の巨匠ポール・マリー・ヴェルレーヌ(Paul Marie Verlaine)の詩集から。
ヴェルレーヌは詩における音楽的要素を重視し、多彩に韻を踏んだ特徴が作品には見られます。数々の名詩をつむぎだしたその生涯は破滅的であったそうです。

「秋の日の ヴィオロンの……」で始まる詩が最も人口に膾炙された詩でしょうかね。
第二次大戦終盤、ノルマンディー上陸作戦が敢行される際、その開始を告げるラジオ放送での秘密暗号にこの詩が使われました。

Chanson d'automne   Paul Verlaine

Les sanglots longs
Des violons
 De l'automne
Blessent mon coeur
D'une langueur
 Monotone.

Tout suffocant
Et blême, quand
 Sonne l'heure,
Je me souviens
Des jours anciens
 Et je pleure

Et je m'en vais
Au vent mauvais
 Qui m'emporte
Deçà, delà,
Pareil à la
 Feuille morte.

落葉
秋の日の
ヰ゛オロンの
ためいきの
身にしみて
うら悲し。

鐘のおとに
胸ふたぎ
色かへて
涙ぐむ
過ぎし日の
おもひでや。

げにわれは
うらぶれて
ここかしこ
さだめなく
とび散らふ
落葉かな。
    上田敏『海潮音―上田敏訳詩集』(新潮文庫、1952年)。

「さだめなく とび散らふ 落葉」に思いを馳せながら、ワインでも飲みましょうかね。

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