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柿でもひとつ

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 秋の果実で、子供のころから好きだったのは柿だろう。
 幕末のころ、アメリカの使節を幕府が饗応するとき、やわらかい柿に味醂(みりん)をかけまわし、デザートとして出したところ、大いに好評を得たそうな。
 戦争中に食料が不足となったとき、干し柿の甘味は、まことに貴重なものだった。
 一茶が「夢に、さと女を見て」と前置きして、

 頬ぺたに、当てなどすなり赤い柿

 の一句をよんでいる。
 また去来には、

 柿ぬしや 梢はちかき嵐山

 の句がある。
 柿は端的に、そしてあざやかに秋の情景を表現する。
    --池波正太郎『味と映画の歳時記』(新潮文庫、昭和61年)。

ひとりぐらしをしていた学生時代には、柿などに見向きもしなかったが、結婚してから、子供時代の時のように、ふたたび、柿を食べるようになった。
池波氏がいうように、柿は、あざやかに秋の情景を表現する。

ひとりで暮らしていた学生時代は、ひとりでも生きていけるぞ!なんて粋がっていた部分もありますが、今思い起こしてみると、それは、浮間に漂う根無し草的な実存であったような気がします。
では、今は地に足がついた生活なのかと問われると、いささか自信はないものの、伴侶や子供によって、有る意味、無理矢理つけられ、そろそろ馴染んできたというところでしょうか。

さて、さきほど、子供が幼稚園から帰ってきた。

喧噪が部屋を支配する。

宇治家参去さんは、これから仕事です。

単調な日常を鮮やかに浮かび上がらせる柿でもほおばりながら、地に足をつけた一日をおくっていきましょうかね。

Book 味と映画の歳時記 (新潮文庫)

著者:池波 正太郎
販売元:新潮社
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