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ひととひととのつながりから社会を観る

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社会学の古典といえば、ウェーバーやデュルケムが有名ですが、形式社会学の祖として知られるジンメルという人物の考え方も面白い。最近、ぼちぼち、読み始めています。

読んでいて面白いのは、ジンメルが、日常生活に根ざした人と人とのふれあい・つながりに注目した点です。

たとえば、街の中……。
道を歩くひとびとをみると、歩いている人は、すれ違う人のことを気にかけながら、その傍らを通り過ぎることがある。もちろん、お互いが知らぬ間(気が付かぬ間)に通りすぎることもあるが、例えば、長い間会っていなかった友人をみつけ、声をかけることもある。また、友人ほどの関係でなくても、知り合いだと気付いて、挨拶をしたり、手をふったりすることもある。苦手な相手であっても、関係が気まずくならないよう配慮したりすることもある。

ジンメルはこうした日常生活における人と人とのかかわりにこそ社会は存在すると考えた。ジンメルにとって、社会とは「心」をもった人間同士の振る舞いが相互に繋がっている状態であり、人間の間の微妙な関係にほかならない。

人間といういきものは、ともすれば、社会という存在を、人間と切り離し、独立した堅固で無機質な集合体をイメージしがちだが、そもそも社会というあり方も、そう考える人間が形成したものであり、そこには決して一様には還元できない顔や心や、そうした人の様々な関係から形成されたあり方である。

そうした点にもう一度注意を払うならば、社会とは再構築不可能な完成品ではなく、たえず、ひととひととの関わりによって、今一度、人間にとって快適なあり方へ変換できるのではないかと思います。

ジンメル曰く……
社会概念を最も広く解すれば、諸個人間の心的相互作用を意味する。(中略)人間の社会関係は、絶えず結ばれては解け、解けては再び結ばれるもので、立派な組織体の地位によることがなくても、永遠の流動及び脈搏として多くの個人を結び合わせるものである。人間が見つめ合う、触れ合う、手紙のやりとりをする、午餐を共にする、これという利害がないのに同情や反感をもって触れ合う、親切への感謝から二度と解けぬ絆が結ばれる、誰かが誰かに道を尋ねる、互いに相手のことを考えて着飾ったり化粧したりする――以上は、人間と人間との間に生ずる一時的或いは永続的な、意識的或いは無意識的な、仮初の或いは由々しい、数知れぬ関係の中から全く勝手に選んだものであるが、そういう関係が絶えず私たちを結び合わせているのである。
    --ジンメル(清水幾太郎訳)『社会学の根本問題 個人と社会』(岩波文庫、1978年)。

さて……今日の午前中は、うちのお子さんの幼稚園の学芸会でした。
元気に演じていましたが、子供という存在も、生まれた時は親子関係だけが生活圏であったが、入園すると、おなじクラスというひとつの共同体の関係へ、枠を拡大し、その中で、喜び、怒り、哀しみ、楽しむ、という人と人とのつながりを心と体で学習しているのかなと思ったりします。そういう自分も、そうした時期があったことをすっかりわすれていますが、たまには、じぶんとじぶんとの関係、そしてじぶんと子供との関係、そして妻との関係を、見直して良い方向へ組み立てなおしていくのもよいのかな、と思ったりします。

とはいえ、今日は朝一でしたので、疲れました。
少々仮眠をとってから仕事へ行きましょうかね。

最後のジンメルの言葉をもう一発。
箴言集『愛の断想 日々の断想』(岩波文庫)から。

人間の可能性は測り知れぬ。しかし、これと矛盾するようだが、人間の不可能性も測り知れぬ。この両者の間、人間が為し得る無限と人間が為し得ざる無限との間に彼の故郷がある。
    --ジンメル(清水幾太郎訳)『愛の断想 日々の断想』(岩波文庫、1980年)。

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