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思想が行動の基礎である

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Heinrich_heine

日本人になじみ深いドイツの詩人にハインリッヒ・ハイネ(Christian Johann Heinrich Heine)がいる。日常的な言葉で文学を語り、その詩作は広く愛されている。

そのハイネは「書物を焼く国は、やがてその国民も焼くであろう」と預言したが、ナチス政権時代にはハイネの作品が実際に燃やされた。そして焼いたドイツ人自身も辛酸をなめたものである。

今日はそんなハイネの哲学論からひとつ。

思想が行動の基礎である
これはすごい話だ。われわれがつくってやった肉体がたましいを求めるというのはおそろしいことである。けれども、われわれがたましいをつくったところが、そのたましいが肉体を求めているわれわれを追いかけまわすようになったら、それこそいっそうすごい、おそろしい、気味のわるいことだろう。ところがわれわれの考え出した思想は、こうしたひとつのたましいである。思想は肉体をあたえられるまでは、つまり物質的な現象にしてもらうまでは、われわれにせがんでやめない。思想は行動になろうとし、言葉は肉体になろうとする。そしてふしぎなことには、人間は聖書のなかの神のように、自分の思想をのべさえしたら、その言葉どおりの世界ができあがる。光と闇ができたり、大洋が大陸とわかれたり、野獣があらわれ出たりすることになる。世界とは言葉をあらわす符号だ!
    --ハイネ(伊東勉訳)『ドイツ古典哲学の本質』(岩波文庫、1973年)。

詩人としての側面だけでなく、革命家としての顔を持ち合わせていたハイネらしい一節です。おそらく思想とか哲学とは、現実に生きている人間そのものを見失い机上の空論に終わったとき、実体をもたない鵺的存在として、ひとびとをふりまわす前衛に堕してしまうのだろうが、ほんものの哲学は人間に肉体となり、その魂の言葉が世界を創造するのであろう。

ハイネの文章はその天才っぽさのきらいがなくもないが、ダイレクト響く力を持っているのは詩人ゆえなのでしょうかね。

さて、これから市井の仕事です。いささかだるいですね。

Book ドイツ古典哲学の本質 改訳

著者:ハイネ
販売元:岩波書店
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