« 【覚え書】壊れるほど頑張る必要はない 石田衣良さん(作家)」 | トップページ | 「領地売り物あり。××ヘクタール、耕地・屋敷・川・果樹園付き、云々」 »

用にも堪えず、美にも堪えぬ

Dscn7197

Dscn7198

趣味とまではいかなくても、ひとは何かを集める楽しみを知っている。
小学生のときは、切手を集めていた……
昆虫採集も、集める作業だった……
ひとつひとつの切手なり、昆虫が増えることに、喜びを覚えたものである。
人間という生きものは不思議なもので、どうやら何かを集めることがすきのようだ。

前置きはさておき……

コレクションというほどではありませんが、ここ数年、根付を集めています。もちろん高価な時代モノまで手はまわりませんが、既製品から手作りまで手頃なものを集めています。

今月購入したのが、麒麟の根付。
ちなみに一緒に写っているキングショー(ウルトラセブンの怪獣)は子供のコレクション。私と同じで集めて、並べて、眺めて、さわることに快楽を感じているようです。

さて、麒麟の根付……。
気に入って飾っていたのですが、ある日見てみると、ツノが1本おれていた……。
麒麟の根付を“シーサー”と呼び、可愛がっていた息子さんの仕業ではないかと思われるが、確認のしようがない。

「大切なものなら、手の届かないところに置いておかない貴方がバカよ」
細君に叱責される。

しかしそもそも考えてみれば、今手に取っている根付ももともとは実用品。
江戸時代に煙草入れ、矢立て、印籠などを紐で帯から吊るし持ち歩くときに用いた留め具が根付けである。ポケットのない着物に小物を携帯する際、使われた留め具である。だとすれば、生活の中で、擦れたり落っことしたり、欠けたり、疵がついたはず。

そう考えれば、(たぶん・息子さんにツノを潰された)麒麟の根付も、宇治家さんの生活のなかでのオリジナルなんだと思えば、すっきりする。
ただ、これ以上、投げたり噛んだりはしてほしくないが……。

さて最後に、そうした民芸に注目した柳宗悦の言葉から。

国家は少数の異常な人々を挙げて、その名誉を誇るかも知れない。しかし一国の文化程度の現実は、普通の民衆がどれだけの生活を持っているかで判断すべきであろう。その著しい反映は、彼らの日々の用いる器物に現れる。

偉大な古作品は一つとして鑑賞品ではなく、実用品であったということを胸に明記する必要がある。いたずらに器を美のために作るなら、用にも堪えず、美にも堪えぬ。
    --柳宗悦『民藝四十年』(岩波文庫、1984年)。

Soetsu

Book 民藝四十年 (岩波文庫 青 169-1)

著者:柳 宗悦
販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

手仕事の日本 (岩波文庫) Book 手仕事の日本 (岩波文庫)

著者:柳 宗悦
販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

|

« 【覚え書】壊れるほど頑張る必要はない 石田衣良さん(作家)」 | トップページ | 「領地売り物あり。××ヘクタール、耕地・屋敷・川・果樹園付き、云々」 »

趣味(時計・カメラ・万年筆・ライター)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 用にも堪えず、美にも堪えぬ:

« 【覚え書】壊れるほど頑張る必要はない 石田衣良さん(作家)」 | トップページ | 「領地売り物あり。××ヘクタール、耕地・屋敷・川・果樹園付き、云々」 »