【覚え書】「ひと イラク帰還兵 パトリシア・マッカーン(Patricia McCann)さん(25)」、『毎日新聞』2008年10月07日(火)付。
かつて連合軍東南アジア副司令官を努めた将軍・A・C・ウェデマイヤー(Albert C. Wedemeyer,1897-1989)は従軍した第二次世界大戦を回顧して「勝者なし」と語ったというが、戦争には勝者は存在しない。いわゆる勝者と呼ばれる側も敗者と呼ばれる側もともに「敗者」となってしまうのが、愚かな戦争である。ひとはいつそのことを学ぶことができるのであろうか。
戦争に代表される暴力は、人間存在を直視することができない人間の愚挙である。この愚挙は戦争だけに限定される問題ではなく、人間存在を直視することができない現象は、この人間世界のあらゆる局面に存在している。
しかしながら、そうした「人の人間性を奪う」人間の暴力を超克する視座もひとりの人間と向かい合うことで癒され、回復されるものなのでしょう。
アメリカという社会は、不思議な社会で、金融危機に象徴されるように、億万の富を一瞬にして築いたり失ったりする人々が存在する一方で、産業がまったく何も育っていないような地域の人々も存在している。おもえばサブプライム・ローンもそうした人々をターゲットにした投資だったのでしょう。
しかし、大学へ行きたくても資金がないひとびとも存在する。
そこで重要な源泉になっているのが、軍の存在である。
紹介するパトリシアさんだけではないのでしょう。
軍がそうした就職先として存在し、魅力ある奨学金が提示されている。
なにかやるせなさを感じてしまうのは、宇治家参去だけではないでしょう。
ほんとうに、すべてが敗者となってしまうのが、戦争という暴力だと思うのですが。
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ひと イラク帰還兵 パトリシア・マッカーン(Patricia McCann)さん(25)
イリノイ大学シカゴ校3年。戦争に反対するイラク帰還兵の会(IVAW)会員。
エメラルドのような瞳で見つめ、穏やかに話していたのに、一瞬みけんにしわを刻み、険しい表情になる。「軍にとって大事なのは、人の人間性を奪うことです」。軍での体験を振り返る富城だ。
高校3年生の17歳で米イリノイ州兵に志願。農業と大学が〝主産業〟の町で、進学資金を稼ぐには選択肢が限られていた。
03年5月にイラク戦線へ送られる直前、「怖ければ撃ち殺せ。妊婦は腹に、男も民族衣装の中に爆弾を隠している。ガキはおとりだ。殺せ、殺せ、殺せ」と教え込まれた。バグダッド郊外の基地で兵たん業務に就いた。上官が女性の部下に性的関係を強要し、男たちは「強姦」をよく話題にした。正当な理由もなく、隊は結婚披露宴に砲弾を撃ち込んだ。
翌年5月に帰国。見知らぬ人と街でけんかし、酒量を抑えられない自分がいた。貫かれていた「蔑視」は、感情を壊す軍の手段だったと思う。今も苦しむ。
06年に除隊した。帰還兵の会に入り、集会で体験を話す。入隊で悩む若者の相談にも乗る。共感した人々に抱きしめられたり、相談者に優しく接することで癒される。
今夏は京都、東京、川崎などで証言。寺院の静寂や庭園の緑に平和を感じた。大学で高校教諭を目指している。生徒たちに「命を、特にあなた自身のを大切にして」と伝えたい。
文と写真・花岡洋二
--『毎日新聞』2008年10月07日(火)付。
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【関連URL】
http://ivaw.org/
http://jp.youtube.com/watch?v=pTdUEBmJu1s
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