【覚え書】「アメリカよ・新ニッポン論:第1部・同盟と自立/5 ◆ウルトラマン脚本家--沖縄帰郷」、『毎日新聞』2009年01月08日付(木)。
ちょゐと忙しくて手抜きのようでスイマセン。
ただ、講義で使用しているネタに関連する記事ですので、いちおうということで。
「僕は人間という侵略者の協力をしている」。
ジレンマを感じなくなる……、鈍感になると、ますます人間から遠ざかっていくのかも知れません。
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アメリカよ・新ニッポン論:第1部・同盟と自立/5
◆ウルトラマン脚本家--沖縄帰郷
◇「被支配」の歴史に葛藤
沖縄県南風原(はえばる)町。那覇市に隣接するベッドタウンに、故金城哲夫の実家はある。戦後テレビ史の不滅のヒーロー、ウルトラマンを生んだ伝説の脚本家。残された書斎には遺影と台本や人形が並び、「シュワッチ」の掛け声に胸躍らせた昔の少年たちが全国から見学に訪れる。
1966年に始まり、今も続く長寿シリーズのストーリーは、「正義が勝つ」単純明快さが基本。だが、「ウルトラマン」「ウルトラセブン」までを主に担当した「金城時代」の作品からは、一貫して深いメッセージを感じ取った人も多い。ファンクラブを作った名古屋市の医師、渡辺豊信さん(50)は「異質な存在との共存や融和が描かれていた」と、その魅力を語る。
傑作とされるウルトラセブン第42話「ノンマルトの使者」。人間より先に地球に住んでいた知的生物ノンマルトは、人間によって海底へ追われたが、そこにも人の手が及ぶ。人間との共存を求めたノンマルト。その使者に立った少年は、ウルトラ警備隊アンヌ隊員に海底開発の中止を懇願する。
少年 人間はずるい。いつだって自分勝手だ。
アンヌ 人間が人間のことを考えるのは当然のことじゃない。
支配する側とされる側の溝。一緒にシリーズを手がけたシナリオライター、上原正三さん(71)は「金城は沖縄の人々が抱いてきたふつふつとした思いを表現した」と言う。
沖縄は支配者が次々入れ替わってきた。江戸時代は島津藩が琉球王国に侵攻し、廃藩置県で明治の日本に組み込まれた。戦後は米国に統治され、72年の本土返還後も在日米軍基地の7割が集中する。
金城は6歳で沖縄戦を生き延びた。中学卒業後に上京。ウルトラシリーズの全盛期、沖縄では復帰運動が盛り上がる。「故郷が揺れている。自分は何をしているのか」。69年に突然帰郷。一転して自らのルーツをたどるように郷土演芸・沖縄芝居の脚本を書いた。
しかし、「沖縄をきちんと知ってほしい」と沖縄海洋博覧会(75年)の演出を手がけたことが、「経済振興に名を借りた環境破壊に手を貸した」と批判された。次第に酒量が増え、翌年、実家のひさしから転落死した。37歳。「沖縄はこのままでいいのでしょうか」が口癖だった。米国と本土のはざまで葛藤(かっとう)した末の早世とも見える。
戦後、沖縄では「独立論」が語られてきた。本土復帰後も「米軍は出て行け」の叫びには、日本への複雑な感情も交じる。
95年、米兵による少女暴行事件で抗議集会に約8万人が集まった時、島では独立論も燃え盛っていた。
昨年10月、国連人権委員会は初めて「琉球・沖縄の人々を先住民族として認めるべきだ」と日本政府に勧告している。今年は島津藩の侵攻から400年、廃藩置県から130年。沖縄の歴史の節目の年でもある。
ゲーツ米国防長官は、共和党政権から民主党政権に代わっても留任することになった理由の一つに「米軍再編の完遂」を挙げる。しかし、最大の懸案である普天間飛行場(宜野湾市)の移設で、沖合への移設を求める地元と、日米合意を堅持する政府の溝は埋まらない。大田昌秀元知事(83)は「本土の人たちは日米安保が不可欠と言うが、沖縄の不安は募るばかりだ」と、独立論の勉強を始めている。
「ノンマルトの使者」の結末は、人間が海底人を滅ぼし、ウルトラセブンもそれに手を貸す。ラストシーンでヒーローは自問する。「僕は人間という侵略者の協力をしている」。ジレンマを抱える「正義の味方」のつぶやきだ。【隅俊之】=つづく
--『毎日新聞』2008年01月08日付(木)。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090108ddm002030061000c.html
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