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旨いもの・酒巡礼記:宮城編 「地酒 居酒屋 蔵」

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旨いもの・酒巡礼記:宮城編 「地酒 居酒屋 蔵」   

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私は何もいふことはありません、たゞ、吉野君から私のところへおくられた仙台の櫻が三本ばかりあります、さかずに十年、今さくかと、今年も櫻を眺め待つてゐたのに、突然吉野君の訃報をきゝまして、何の言葉もなく、感慨無量です。
    --柳田國男「故人寄贈の櫻悲し」、『帝國大学新聞』1933年3月21日付。

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吉野作造研究の途上、宮城県大崎市(旧古川市)にて、その往時を偲ぶべく、一泊しましたが、その渦中で立ち寄ったのが、表題の「地酒 居酒屋 蔵」でございます。

本当は学を論じようと思った次第ですが、「風味」を忘れないうちにと思い、取り急ぎ、「旨いもの・酒巡礼記:宮城編」として上程しましょう。

古川街中のちょうど中央部に位置したところで、ホテルから近く、地酒もそろっているとのことで、今回は調べての訪問です。

こういうのを「隠れ家」とでもいうのでしょうか。

ネットのmap類ではホテルから確かに5分程度の距離なのですが、なかなか発見できず、お陰で、40分程度、市中巡廻というやつで、それはそれで、この古川という街を堪能することができたのはありがたかったのですが、「もう今日は辞めて、違う店にするか」などと諦めて、もと着た道を戻っていると、「もしや……」、

……というわけで、無事に邂逅した一店です。

写真の通り、店の構えは奇をてらったり、ぴかぴか光らせたりという無粋な造作ではなく、市中にひっそりと「たたずむ」という表現がぴったりで、「なかで勝負します」という空気がなんともさわやかです。

まさに、一軒家の一層で店を営むという風情ですから、訪問道中で、「見落として」しまったようでございます。

さて、扉をくぐると……、
なかは、温かい空気と穏やかな光、そして清げにまとめられた仕様に、身も心も「暖められる」というやつで、(恐らく)責任者の方でしょう、言葉遣いのしっかりしたお兄さんに、誘われ、まずは、「プレミアムモルツ(生)」で喉を潤す。

ちょうどその日は、東北とはいえ風のない小春日和の温かさでしたが、やはり東京の人間には少し「肌寒さ」を覚えさせずにはいられない寒さでしたが、雰囲気に「暖められ」、ビールがうまいこと、うまいこと、疲れを忘れるかのように一気に流し込みました。

出された「お通し」もいいではありませんか。

エビの和え物、サラダ、そして温泉卵。

どれも丁寧に造られた一品です。

お店の迫力と値打ちは、この「お通し」に現れるのだろうと思います。

さて……
普通だと、生ビールを2,3杯いただいてから、日本酒へという流れなのですが、「今日は日本酒を味わう」と心に決めていましたものですから、早々に飲みほすと、

「あずまみね 岩手 純米吟醸無濾過」を頼んでから、

「この季節でこのあたりの料理だと何が旨いですか」と給仕のお姉さんに聞くと、

「白子とか、生牡蠣でしょうか」

……とのことだそうな。

宇治家参去、実は、白子と生牡蠣はNGのため、やはり、宮城は「牛」と、そして世界三大漁場のひとつとして知られる「三陸沖漁場」を有しておりますから、「天然」ものの「魚」でも、ということで、先ずは……

「牛タンの網焼き」
「天然ぶり 大とろの照り焼き」

を頼んでみる。

先に出てきたのが、牛タンですが、宇治家参去、牛タンも「あまり旨いものではない」という印象があったのですが、さっと炙ったようなのですが、なかも綺麗な焼け具合の肉と添えられた浅漬けを口に運ぶと、そうした通念が破壊されてしまいました。

「土の匂いが旨い」とはこのことなのでしょう。

味わいに舌鼓をうちつつ、手元の酒も心許ない量になってきてい、焼き物は頼んでいたので、

「日高見 宮城 吟醸」
「秋いかげその唐揚げ」

をお願いする。

さすが、米どころです。

酒は何を頼んでも、米の味わいが生きており、「口の中で、酒をふくみつつまわしながら、いただく」という感じで、じっくりとその味わいを楽しむことができました。

また二合目になりますが、この器がなんともよいではありませんか。
大きめの枡に、細かく氷を削り、ステンレスの容器に酒を、そして、グラスを氷に置き、両者を自分の目の前で冷やしながら、やる。

なんともいえません。

で……
「げその唐揚げ」って聞きますと、「飲み屋の定番で安い“とりあえず”一品シリーズ」だよなって部分がありますが、いやいやなかなかどうして……。

「蔵」の出してくれるげそにも度肝を抜かれます。
揚げたてのげそは、非常に柔らかく、そして味わいが深い。
烏賊は生でも、焼いても、煮ても、旨いのですが、旬を詰め込むように「揚げ」ていただくのも、いやはや、捨てがたいものです。

添えられた「マヨネーズ」はおそらく自家製なのでしょう。まったく「くどく」ありません。

そうこうするうちに、注文してから30分程度してから登場したのが、真打ちです。

「天然ぶり 大とろの照り焼き」さん、ありがとう!

久し振りに、(心の中で)「泣いてしまいました」です。

ぶりは比較的大好きな食材で、生(刺身・鮨)もよし、塩焼きもよし、そして照り焼きもよし、なのですが、なかなか旨い照り焼きをだすところはありません。

しかし、久し振りに本物と出会うことができたことに、感動です。

まず、厚さが違います。

スーパーなんかですと、1cm弱のぶりの切り身が百数十円で流通しておりますが、いただいたそれは、かるく2cmオーバーです。様子はまさに「照り焼き」ですが、その肉厚のある、そして時間をかけてしんまで丁寧に火を通した(変な焦げ付き全くなし)それは、まるでステーキです。

まぐろほど「くどく」もなく、さわやかな白身と、照り汁の絶妙なバランスに「脱帽」です。天然物は、身が全く崩れません。

天然の自己主張とは他者が受けとることのできる最高の褒むべき自己主張なのでしょう。

肴が一流で有れば、酒も一流が欲しいということで、

責任者のようなお兄さんに、

「メニューに乗っていないので、今日用意できるものって何かありますか?」って伺うと、

しばし談笑していたカウンター越しの板長のお兄さんが、「どういうのが好みですか?」って伺ってくれましたので、好みを少々お話しすると、

「十四代 純米大吟醸 特吟 播州 愛山、アリマスヨ」

肴の真打ちと、お酒の真打ちに乾杯(完敗)です。

最後に、「生身」もほしいよな……ということで、ライトな一品として、

「まぐろの中落ちと山芋の和えもの」

を所望して、鶉の卵と醤油をかけ回して、口の中へ。

鮮烈な山芋のしゃきしゃき感と、新鮮なまぐろの濃い味わいが、絶妙に調和され、〆の一品が完成しました。
※お薦めは刺身の盛り合わせ(2人前)でしたが、それほど量は難しいよなということで上記の一品。

これだけ飲んで食ってみると、1万いったかな~と思っていたところ、会計は6000円弱。もう少し頼んでおけばよかったと猛省すること幾千万。

ああ、また生きたい。
ああ、また逝きたい。

……そのように思う宇治家参去です。

もてなしも最高であれば、食材も最高、そして日本酒も本物の「蔵」。

なにかまた理由を造って、古川の街を訪れたい……そう思わざるを得ない最高のステージです。

ただし、「隠れ家」です。
大人のように飲みましょう。

■ 地酒 居酒屋 蔵
宮城県大崎市古川東町5-47
0229-24-9555
営業時間  17:00~00:00
(定休日) 月曜日

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