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人生に逆境はない。如何なる境遇に在りても、天に事へ人に仕へる機会は潤澤に恵まれている。

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 人生に逆境はない。如何なる境遇に在りても、天に事へ人に仕へる機会は潤澤に恵まれている。
  大正十三年六月念五    吉野作造
    --吉野作造「日記 二」、『吉野作造選集 14巻』岩波書店、1996年。

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吉野作造(1871-1933)続きで恐縮ですが、吉野の言葉で一番大好きな言葉を紹介します。

すなわち「人生に逆境はない」との言葉がそれでございます。

「そんなこと言われなくても~」

とか……

「エライ学者サンの“アリガタイオコトバ”でしょ?」

とか……早計すること勿れ。

実はこの吉野の言葉は、吉野作造自身が人生において最大の危機中で発せられた言葉であることに注目したいのです。

この言葉がしたためられる前の年(大正12/1923年)、吉野作造は東京帝国大学法学部教授の職を辞しております。その理由は次の通りです。

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氏(引用者注……吉野作造)は横浜の某富豪を説いて支那人、朝鮮学生の学費を出して貰つてゐたが、該富豪が自身の打撃で世話が六ケ(むつか)しくなつたので、氏は自分で費用を造らうと考へたのである。それは大学教授の収入よりも新聞社の方がズツト善い待遇を与ふるからであつた。
    --赤松克麿編『故吉野博士を語る』中央公論社、1934年。

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うえの引用は、吉野作造に「新聞社」仲介の世話をとった米田実(朝日新聞社)の言葉です。遠因は、大正12年9月の関東大震災にあるのですが、震災により横浜の素封家の留学生に対する援助が見込めなくなったため、吉野作造自身が世話をしようとのことで、収入のよい「朝日新聞社」へ入社するわけです。

しかし……。
半年もたたないうちに、筆禍事件によって、退社をよぎなくされてしまいます。

その進退窮まった際に、日記に記されたのが、一番最初の引用です。

軍部、枢密院、貴族院への容赦のない批判は、時の権力から過剰な弾圧をくらってしまい、朝日新聞自身も吉野作造を護れきれなくなってしまい、退社という運びで、「何の過失なくして乃ち失業の群に入る」(吉野日記、1930年3月21日)という、客観的にみれば、マア「どうしようもない状況の中」に投げ込まれます。

そのなかで発せられた言葉です。

しかし、吉野自身は「人生には逆境はない」との言葉どおり、このあとも使命の道を歩み通します。

身に降りかかった逆境のなかにおいても、吉野はなお「天に事へ人に仕へる」ことを使命として、まさに“生き抜きます”。
「天に事へ」とは、クリスチャンとして神に仕えることなのでしょう……、もう少し多元的な表現をとるとすれば、「真理に身を投じる」とでもいえばいいでしょうか。そして「人に仕へる」とは他人のために事をなすということなのでしょう。

このふたつは吉野の生涯における二つの人生の大指針なのですが、はからずも逆境によって表現された言葉なのだと思います。

朝日新聞退社後、社会的には不遇な状況が続きますが、吉野作造は次の手を打ち始めます。それが吉野晩年の労作となる「明治文化研究」に結実するのですが、そこでデモクラシー議論以上の、業績を後世に残すことになります。
※そこで集められた資料、そして史料に対するコメンタリーは、現代の「群書類従」と評価されております。蛇足ですが、学生支援は投資信託でがんばったようです。

大正~昭和初期にかけて盛んにデモクラシー、そして社会主義、その他種々の主張が百家争鳴の如く繰り広げられていくわけですが、その淵源としての日本の近代はどこにあるのか?

その史的、そして史料的追求が、晩年の吉野のアカデミズムの一つの結実として花開くことになります(いうまでもありませんが、現況政治への批判は死ぬまで平行しながらやりつづけます……其の意味で決して隠遁ではありません、念のため)。

で……、前振りが長くなりましたが……、これも「例の如く」ということで、“お許し下さいませ”。

ちょうど、通信教育部では、この数日が、「卒業決定」のタイミングです。

レポートは通ったか。
単位は揃ったか。

すべての総決算の時期でございます。

ちょうど……、
宮城へ調査旅行へ赴く前に、「卒業決定レポート」と雄々しくしたためられたレポートを頂戴しました。

しかし、課題票と中身が合致せず(例えば、第1課題の課題票添付に対して、内容が第2課題)、事務局に問い合わせると、「大変申し訳御座いませんが、再提出で」とのことでしたが、「急いで返して、そして再提出すれば」とのことで、取り急ぎ返却。内容的には全く問題がありませんでしたから、提出デッドラインのみでございます。

そして、東京へ戻ると、その「再提出」のレポートが手元に届いておりました。

それをみるにつけ「人生に逆境はない」と実感です。

科目によるのかも知れませんが、まだ間に合うものが多いと思います。

最後まで「あきらめずに」がんばってほしいと思います。

なぜなら「人生には逆境はない」ので、なんとかなるもんです。

あきらめるのか、それともくいつていくのかのどちらかです。

悩んでいる方がいましたら、今は悩むより、書いて出す時期です。

がんばって欲しいと念願しつつ……、出羽櫻(山形)を飲酒。

本当に最後までがんばってほしいです。

「再提出」を出した学生さん、ありがたいことに、「心遣いありがとうございます。私も本年どうしても卒業したいと考えています。最後まであきらめず、絶対勝利の一念でがんばります」との「付箋」をつけてくださいました。

その「付箋」一生涯の宝物にさせていただきます。

マジで、がんばれ!

あきらめるな!

ちなみに今日は「日本愛妻家協会」が制定した「愛妻家の日」のようです。
1月の1を"I"に見立て、「あい(I)さい(31)」とか……。

昨年、当日、細君に“ガタガタ”言われて、鉢植えを買った気がするので、今年は意趣返しで、チューリップの切り花です。

これで今回は“ガタガタ”言われることはあるまい。

例の如くですが、「世のお父様、ご亭主、伴侶、etc」様、ご用意した方が、よろしいことかと存じます。

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