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【覚え書】「ノーム・チョムスキー氏語る オバマ政権誕生、負の側面も見よ」、『毎日新聞』2009年2月21日(土)付。

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苛烈なアメリカ帝国主義批判として知られる在米知識人のひとりが言語学者ノーム・チョムスキー(Avram Noam Chomsky,1928-、本業は言語学の生成文法論)です。

オバマ新政権は発足したばかりですが、どのように評価するのか……楽しみにしたところ、インタビューが収録されておりましたので、【覚え書】として残しておきます。

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 長年にわたり、米国の内側から政府の非民主的、帝国主義的な側面を批判してきたマサチューセッツ工科大のノーム・チョムスキー教授(80)。オバマ大統領の就任や世界的な経済危機をどうみているか、インタビューした。【ボストン(米マサチューセッツ州)で小倉孝保】

 ◇黒人と女性競う 考えられぬ光景だった
 --ブッシュ前政権8年の評価は。

 ◆大多数の国民の実質所得は減少し、巨額の貿易・財政赤字ができた。イラク戦争はテロの危険を増加させると予測されていたが、結果はこれをはるかに超えた。世界における米国の権威は失墜。「テロから国民を守る」との口実で拷問や不法拘束、市民へのスパイ行為が行われ、法による統治システムはずたずたになった。

 --オバマ氏の当選をどう考えるか。

 ◆米国では建国以来、少数の豊かな者が権力を握り、政府の目的はそうした層の権利保護だった。黒人はいまだに2級市民で、女性が社会的権利を獲得するのも遅かった。だが、今回の民主党の候補者選びは黒人と女性の争いになった。わずか20年前にも考えられなかったことで、米社会の文明化を示すものだ。黒人とヒスパニック(中南米系)が投票に大きな役割を果たしたことも注目される。

 ただ、(大統領選の結果を)詳細にみると、白人はおおむねマケイン氏(共和)を支持したと言える。(金融危機の悪化などで)明日にも職を失うかもしれない状況の中、白人は保守傾向を示した。

 また、オバマ氏が草の根の資金調達を行った、というのは神話だ。メディアによると、オバマ氏の選挙資金の多くは金融界からだった。小口の寄付は全体の25%程度とみられている。巨大企業が当落を決める非民主的状況は変わっていない。

 --国際社会の信頼回復は。

 ◆オバマ氏は(前政権のように)科学を否定しないし、(キューバの)グアンタナモ収容所での拷問も支持しない。ブッシュ(前大統領)・チェイニー(前副大統領)体制が高慢で不作法だったこともあり、欧州は米国と距離を置いたが、オバマ氏となら一緒に(政策を)やれるだろう。

 ◇経済危機の遠因作った者たち、新政権に
 --今回の経済危機をどう見るか。

 ◆第二次大戦後の経済制度が終焉(しゅうえん)し、70年代に経済の中心が製造から金融に移行した結果、資本は管理されず、通貨は(規制や国境の枠を超えて)自由に飛び回るようになった。こうした新自由主義経済について、まじめな経済学者は当初から危険性を予測していた。

 今回の危機はまた、豊かな国が貿易や市場の自由化を自国に都合良く利用していることを示している。約10年前にインドネシアやロシア、ブラジルなど貧しい国が経済危機に見舞われた際、国際通貨基金は(公営企業の)民営化を促し、金利を上げるよう指導した。だが、米国は今回、金利を下げ、(金融機関への公的資本注入などで)国の関与を強めている。かつて貧しい国に求めた政策とはまったく逆なのだ。

 --オバマ政権の対応ぶりは。

 ◆オバマ政権の経済担当者の中にも、この危機の遠因を作った者がいることを知っておくべきだ。(国家経済会議委員長の)サマーズ氏はクリントン政権時代に財務長官として、デリバティブなど金融派生商品の規制に反対した。

 また、オバマ氏の経済政策顧問を務めるルービン氏は、クリントン政権の財務長官から(米金融大手で政府の救済を受けた)シティグループの経営委員会会長になり、膨大な報酬を受け取っていた。オバマ政権では、こうした人々に歓迎される解決策が模索されるのだろう。

■人物略歴
 1928年、米フィラデルフィア(ペンシルベニア州)近郊で、ユダヤ人の両親のもとに生まれる。ペンシルベニア大で言語学博士号を取得。61年からマサチューセッツ工科大言語・心理学部教授。すべての言語に普遍的特性があるとする生成文法理論をうち立て注目される。ベトナム戦争批判始め、詳細な事実分析で米国の政策を厳しく批判している。

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