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まだ生きている人間にとっては、生きている人間として行動をなし続ける以外の策はない

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……まだ生きている人間にとっては、生きている人間として行動をなし続ける以外の策はない--しかもこれは至上の策なのだ。死ぬのはひとりだが、生きるのは他人と共にであり、われわれとは他人がわれわれについて作り上げるイメージであり、彼らがいるそのところにわれわれもまたいるのである。
    --M.メルロ=ポンティ(海老坂武訳)「英雄、人間」、滝浦静雄ほか訳『意味と無意味』みすず書房、1983年。

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「哲学」半期15回授業の初日がようやくスタートです。
初回はガイダンスということですので、講義の概要・全体の見通し、成績の評価方法やレポートなど講座のフレームワークの解説で終わらせることができるのですが、やっぱりちょいと授業やっておこう!ということで、20分ばかり序の序を講義してきました。

今年でちょうど7周目に入りましたが--その間、教養関係の講座数が短大でも縮小傾向にあるのですが、その意味ではよく“生き残ったな!”という実感ですが--これだけ積み上げていきますと、どうしても最初の時よりも、内容が積み重ねられていき、補足の補足や修正や追加が多くなってしまい、とてもとても規定の回数ではこなせなくなってしまいますので、少しでも、最初からやっておこう--ということで、授業の内容にはいる前の準備運動……ということで、教材を開かせる前に、自分自身のもっている「哲学」に対するイメージを確認させました。

やはり……

固い、難しい……というイメージが大半ですが、それでも、「固い、難しい」からこそなのでしょう……「それでも、なんか大切な気がしなくもない」という+α(それが何かは指示できないとしても)があるようで……ひとつ安堵。

現状ではそれを指示することのできない+αを明確にし、ひとりひとりの哲学“性”を薫育していくのが、今後の講義のキーポイントになってくるのだろうと思います。

たった15回ですが、履修された皆様、どうぞ宜しくお願いします。

昨年に引き続き、シラバスの内容に記された文面の「裏課題?」として本年も引き続き「人間とは何か」をひとつの課題にしております。

カント(Immanuel Kant,1724-1804)は哲学を定義して次のように語っております。

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 理性の一切の関心(思弁的および実践的関心)はすべて次の三問に纏められる、
1 私は何を知り得るか
2 私は何をなすべきか
3 私は何を希望することが許されるか
    --カント(篠田英雄訳)『純粋理性批判』岩波文庫、1962年。

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この3つの問いとは、認識・実践・信仰に関わる議論ですが、哲学とは何かと纏めて言うならば、それはつまり「人間とは何か」という探究なのでしょう。

己の限界をはっきり見定めたい。
そのことによって、無限の成長もあるからでしょう。

ともすれば、独我論に陥りがちなのが哲学の議論ですが、徹底的な個々人の探究は深めながらも、独我論をさけつつ、他者に開かれた議論の展開を心がけていきたいものです。

ともすれば、「人間なんてケ・セラ、セラ」という風潮がいやまして強い昨今ですが、だからこそ、あらためて徹底的に「人間とは何か」を真面目に探究していかないかぎり、議論を唾棄するにせよ、進展させるにせよ、自己自身の「立ち位置」を見定めることはできないのだろうと思います。

生きている自分自身を参考にしながら、そして共にいきている隣人と対話を重ねながら歩んでいくほかありません。

そのことによって、哲学が手垢にまみれた通俗的な人生訓とか処世術に陥ることをさけつつ、かびくさい繙かれることのない古書のなかの活字にとどまることを避けることが出来るのかも知れません。

なぜなら、「まだ生きている人間にとっては、生きている人間として行動をなし続ける以外の策はない--しかもこれは至上の策なのだ」からなのでしょう。

大学の桜……一斉に花びらをひらきはじめました。
今週末ぐらいまで見頃だと思います。

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