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旨いもの・酒巡礼記:北海道・札幌市編「北の菜路季 大地」

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訪問してからだいぶ日にちがたちましたが、忘れないうちに書いて置かねば……ということで、【旨いもの・酒巡礼記】札幌編その②です。

北海道・札幌スクーリングの折り、滞在2日目・初日の講義を無事終えた5月16日のすこし冷え込む札幌で訪れたのがこの「北の菜路季 大地」でございます。

前回その①で紹介した「北のさゝや」同様、実は一昨年にも訪問したおみせです。
前回は初日が「北の菜路季 大地」で、二日目が「北のさゝや」ですから、今回は全く逆ですが、いや、いつも変わらぬ「よいもの」を出してくれます。

初日(滞在二日目)の授業では、なんとか授業を無事にすませ、指導員の方が会場からホテルまで送って下さったのですが、ホテルへ戻ると18時過ぎ。

戻ってから簡単に明日使用する講義箇所の簡単な修正をしてから(初日分との整合性のフォロー)をしたり、ちょうど前日に祖母が亡くなったことのもあり、「今日は仮通夜だよな」……ということで、すこし正座をしたりしていると、20時前……。

精神的にいろいろとダメージを受ける諸事が積み重なってはおりましたが、それでも不思議なもんですが、「腹は減る」……というやつです。

宇治家参去の場合、地方スクーリングの際は、基本的には昼食をあまりがっつりとりません。何故なら、「疲れが加速」してしまうからです。むしろ空きっ腹でしゃべったり、考えたり、講義したり、応対したりするほうが、むしろ頭が冴えるというやつですからそうしておりますので、それがおわるとどっと疲れが吹き出してくるわけで、やっぱり、ここはご当地の旨いものを!……という発想にならざるを得ません。
※ちなみにお昼は「誘われる」と出て摂取します。

で、前日、「北のさゝや」の板さんから、

「北海道の夜は早いですよ」(意味としては「週末はお店が早く閉まりますよ」の意)

……と忠告を受けていたので、

「これから、店を探してどうのこうの……というのもタイムロスだよな」

……ということで、

一昨年行って「満足した」あそこへ行くか!

……ということで、

「北の菜路季 大地」へ直行です。

宿泊先のホテルのまあ、目の前のが地下鉄「札幌駅」の出入り口で、そこの駅地下に「北の菜路季 大地」は存在します。

……そうなんです。ここまでお読みの読者諸兄は、ひょっとすると……と思うかもしれませんが、そう、前日訪れた「北のさゝや」本店と同じ駅地下のフロアーで、互いに向かい合って店舗が存在するという次第です。

さて、
この日も少し寒かったので、冬物スーツで過ごしておりましたが、夜になると、コートも必要か?などと自問しつつ、ホテルから徒歩1分程度の「北の菜路季 大地」へ直行しです。

寒いわけですが、清げな店内は、「温かく」、上着をとると、やっぱり、SAPPOROビールの生を「自動的」に注文し、クィックメニューということで、「冷や奴」!

ビールが運ばれてくるわけですが、一瞬にして蒸発してしまいますので、持ってきた給仕のお姉さんに、「もう1杯」お願いすると、

そのもう1杯の生ビールと、冷や奴で闘いの開始を告げるゴングが鳴り響く……というやつです。

この「北の菜路季 大地」というお店は、まさに相対している「北のさゝや」と対極にあるような雰囲気のお店で、どちらかといえば、玄人?向きというよりも、素人向きといってよいかとおもうほど、誰でもウェルカムという一種ファミリーレストラン的な雰囲気があり、会社員おっちゃんが仕事がすんでから「いっぺえやる」にもよし、御婦人がたがサークルとかクラブの打ち上げに使うもよし、小さなお子様を連れた御家族が少し楽しむにもよし、……という大変間口の広い雰囲気で、たしかに種々雑多なひとびとが「楽しむ」ことのできるお店です。

ぢゃあ、そんな「ファミレス」的な「チェーン店」的な飲み屋を、わざわざ【旨いもの・酒巡礼記】で取り上げる必要があるのか、……などと異議申し立てされそうですが、早計すること勿れ!

「北の菜路季 大地」は、たしかにそうした雰囲気を醸し出しておりますが、決して「ファミレス」でも「チェーン店」でもありません。

そうした間口の広い雰囲気ですが、出てくるものは本物なんです。

なぜかといえば、この「北の菜路季 大地」。
店舗を運営しているのが「ホクレン農業協同組合連合会」だからです。
全道の農畜産物の集荷、加工、流通……、そして販売から農業指導まで手広く行っているホクレンが営業しておりますから……、早い話が「最高の材料」があつまってくるわけです。

前置きが長くなりましたが、
そういうところですので、ですから闘いの火ぶたをきった、冷や奴ですが、ただの豆腐と思うこと勿れ。
いや~手が込んでおります。

北海道今金町「小川豆腐店」直送の鶴の子豆腐使用した豆腐は、大豆の味わいの自己主張がきりりとしまった一品で、これに合うのがSAPPOROビールというやつで、またしても飲みほしてしまい、肴のオーダーと同時に、またしてもビールを所望してしまうという善のスパイラルが発生してしまいます。

というわけで、

「いももち」
「あずき菜の和えもの」
「SPF豚の室蘭焼き」

をお願いして待っていると香ばしい匂いと青が引き締まった菜の香りが運ばれてくるし第で、

「いももち」とは、東京なんかでいえば、いわゆる磯辺焼きという雰囲気の一品ですが、「いもももち」ですから、ジャガイモから造られた餅というわけで、米餅よりもやわらかく、味わいが繊細で。しょうゆ味にきざみ海苔がなんとも香ばしい一品です。「北海道のおふくろの味」という触れ込みですが、マジでふかしたジャガイモをすりつぶし、こねてお餅に自分でもしてしまいしょうか……などと思わされてしまいます。

そして「あずき菜の和えもの」!
食品を扱う視座から論ずれば、いわゆる「葉物野菜」にカテゴライズされる葉っぱです。失礼な言い方ですが、若い頃だと、この手の「葉っぱ」の「和えもの」の旨さがまったく理解できませんでした。それよりもむしろ、油っこいトンカツだとか、ジューシーな肉料理とかフライとか、そういうものに目が向きがちでしたが、最近、こうした「目にもやさしい」野菜のシンプル料理がダイレクトに響いてくるようになりました。

はっきり言って単純な料理です。

しかし、素材がよいのでしょう。

合わされたミソの甘辛ぐあいがちょうど良く、「もうひとつ」と思わず注文しそうになりましたが、湯気を立てている「SPF豚の室蘭焼き」が運ばれてきましたので、先ずはコチラと格闘戦のスタートです。

SPF「Specific Pathogen Free」とは、指定された病原体をもっていないという意味で、「特定疾患不在豚」と訳される種類の豚です。飼育過程には涙ぐましい努力とサイエンスとテクノロジーが擁されるお豚様ですが、要は、疾病罹患のストレスのない快適な環境で育てられたお豚様で、肉質の柔らかさがその特徴とされる種類です。

飲み屋巡礼の作法において大切なのは「二度目に訪問した際には、基本的には同じ肴を注文しない」という不文律が存在しますが、その不文律を破ってしまいました。

一昨年にも注文していたのですが、その旨さに一人バックドロップをしてしまいましたので、まさに「007は二度死ぬ」というやつです。

体裁としては、タレの豚串!
触れ込みでは、「室蘭名物の豚串焼き」とあります。

本土のタレとは違うから「室蘭」名物なのでしょう。

甘辛タレに練り芥子をまぶして口蓋へ持ち込むと、ここでもう一度バックドロップです。
たしかに素材は最高です。
しかしこの甘辛いタレが素材を引き立て、そして練り芥子が味わいを締めるというわけですから、練り芥子を使わずに、焼き鳥や焼き豚でやっちゃうように「七味唐辛子」をやってはいけません。

なんといっても練り芥子です。

……というわけで?

日本酒に移行しつつ、真打ちの登場です。

「爆弾つくね」が、宇治家参去が陣取るカウンターの一角に投下されてしまいました。

前回は「エゾしかのつくね」(だったと思う)でひっくりかえってしまいましたが、今年のメニューにはなく、新たに発見した「爆弾つくね」をお願いし、箸をいれて自爆してしまった次第です。

箸を入れてみました。
なからとり~りとした半熟玉子が笑っております。

「おめえ、まだまだ青二才だよな」

玉子に笑われてしまいました。

だからこそ、「挑戦!」というわけで、肉弾戦を展開しましたが、あっさり降伏=幸福です。つくねで大切なのは何かといえば、肉そのものよりも適度に配置された、刻み軟骨ですが、肉とともに軟骨が「コリッ」として溶けていくんです。

「コリッ」として「すぅーっ」と一体化していく……初めてでした。

降伏とは幸福なんですね。

そして半熟玉子が追い打ちをかけるというわけで、完敗=乾杯です。

ともあれ、一品一品を味わい地酒を堪能していると、もうおなか一杯というわけですが、むしろファミレス的な雰囲気が逆説的ですが実にここちよいな……などと思う次第で、その雑音には、「雑音」に解消しきれない人間の喜怒哀楽がひとつの美しいソナタとなって奏でているようで、ひとり、悦にいる宇治家参去でした。

頂いた「おちゃけ」(お酒)は、以下の通り。

純米吟醸 吟風樽生酒
札幌市/日本清酒/原料米「吟風」/+4   ×2

純米酒 風のささやき
旭川市/高砂酒造/原料米「吟風」/+3

ニ世古 純米吟醸酒安政浪漫
倶知安町/二世古酒造/原料米「初雫」/+2

……というわけで、北海道地酒オンパレードで締めさせて頂きました。

いやはや、完敗です。
そして北海道の大地と大地に生きるひとびとに感謝の念を禁じ得ません。

しかし

しかし……

そして、しかし……、

何か忘れておりやした。

「北の菜路季 大地」は「ホクレン」ですよ……!

小さな農産物の叫び声に我に返った次第です。

この「北の菜路季 大地」のうりは、なんといってもジャガバターです。
それを失念しておりました、いや、ホンマ失礼!

「ジャガバター」という言葉は豊穣な対象に対して一つの抽象化を招いてしまうひとつの思想的暴挙であったことを失念しておりました。

東京にいると、「ジャガバター」は馬鈴薯であれ男爵であれメイクイーンであれ、ただの「ジャガバター」です。

しかし、それは実は「ジャガバター」ではないのです。

ジャガイモの味わいを抹殺されたのっぺりとした「顔」@レヴィナスのない「ジャガバター」なのでしょう。

「北の菜路季 大地」では、じゃがいもだけで17種類(季節によって前後)、すべて味わいが違いました。

今回頂戴したのは、「北あかり」と「北むらさき」!

じゃがいもにせよなににせよグルーピングされる味わいではないんですよ。

銘柄の「味」です。

じゃがいもの「味」ではなく「北あかり」と「北むらさき」の味わいなんですよねえ~。

全品種制覇までにはもうチト時間がかかりそうです。

附言ですが、お子様ずれのお父様・お母様にはおすすめです。
……という話を細君にしてしまったのは失敗です。

「連れて行け」

……とのことだそうです。

■北の菜路季 大地
札幌市北区北7条西1丁目NSSビル地下1階
(011)-737-0223
【営業時間】
[昼の部:月~金] AM11:30~PM2:00
[夜の部:月~金] PM5:00~PM11:00(L.O.PM10:00)
[土] PM5:00~PM10:00(L.O.PM9:00)
【定休日】
日曜・祝日
http://r.gnavi.co.jp/h029800/

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じゃがいもの餅……あなどってはいけません。

必ずまいります。

そしてあずき菜……北海道ではポピュラーなようですが、脱帽してしまいました。
※飲兵衛としては「反則技」ですが、あとでもう1度頼んでしまいました。

でSPF豚。

牛さんは豚には勝てないかも……?
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で、これですよ、コレ、旦那!

「爆弾つくね」の「爆弾」の意味わかりますか?

「爆弾」くらうと「爆発」するんですよ。

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対象を単なる「じゃがいも」として「抽象化」してしまうのは人間の暴挙に他なりません。

「じゃがいも」と言っても様々な味わいがあり、「人間」に関してもそれは同じです。

だから「じゃがいもなんてサア~」とか「人間なんてサア~」などしたり顔では発言できない次第です。


だから、飲み足りなくなって、ホテルに帰ってからも弔い合戦した次第です。

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コメント

私も大地がダイスキです!が残念なことに閉店するそうです。

投稿: ジャガイモピザ | 2009年11月 3日 (火) 10時35分

ジャガイモピザさんゑ

はじめての書き込みありがとうございます。

で……。
そうなんですか・・・。

2回しか訪問したことがありませんが、いつもかわらぬもてなしで安心してのれんをくぐることのできるお店だよな~と思っておりましたので、ちょいと残念です。

閉店前にできれば、ジャガバターを全制覇したいところです。

投稿: 宇治家 参去 | 2009年11月 3日 (火) 23時11分

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