「今度は、お前の御手柄じゃ」
それはさておき、大塚清兵衛一味を捕えて役宅の牢屋へ打ちこみ、あとは佐嶋忠介にまかせて長谷川平蔵は、
「ああ、もう、たまらぬわ……」
ひどい疲れに欲も得もなく、臥所へころがりこんでしまった。
目ざめたのは夕暮れになってからだ。
入浴し、居間へ出て夕餉の膳に向かった平蔵が、久栄へ
「雪は熄んだような……」
「はい」
「積もったか?」
「すっかり、溶けてしまいました」
「春の、気ちがい雪か……」
「まあ……そのような雪が、ございますかしら?」
「わしの頭も今度は、いささか狂うていたような……」
「何とおっしゃいます?」
「なにしろ、御先手組五百石の宮口伊織が相手だったので、あわててしもうたらしい。いかに道楽者とはいえ、天下の直参が、ああなろうとは……」
「なれど、首尾よう盗賊どもを……」
「捕えた。が、調べはこれからじゃ」
うまそうに酒盃をかたむけつつ、平蔵が、
「それにしても、わからぬことよ」
「何がでございます?」
「あの老いた掏摸が、どうして、あの女の家を訪れたものか?」
おきねも宗八も、山田某の兇剣をうけて即死してしまったいま、二人の口からは何も聞き出すことはできない。
「さて、久栄……」
「今度は、お前の御手柄じゃ」
「何のことやら……?」
「ほうびに何ぞ、買うてつかわそうか。ほしいものを申したらよい」
「まあ……うれしゅうごうざいます。なれど、わたくしが、どのような手柄をたてましたのでございましょうか?」
「お前の、あの一言を聞かなんだら、わしは、もっと無様なまねをしかねなかったろうよ。うふ、ふ、ふ……」
--池波正太郎「春雪」、『鬼平犯科帳 13』文春文庫、2000年。
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7月初旬の山場をなんとか家族一丸となって?突破することができましたので、その「ほうび」にという名目で?……といっても自分自身に対する「ほうび」?……ということで鮨にいってきましたが、思った以上にやっちゃった次第です。
「ほうびに何ぞ、買うてつかわそうか。ほしいものを申したらよい」
……などと申し出てしまうと、何をふられるかわかったものではありませんから、こちらがわから「じぶんたちへのご褒美として鮨でもいきますか?」という流れです。
昨日の東京は猛暑。
夕刻よりすこし風がふきましたが、それでおさまるどころでなく、細君も一日中外へでており、息子殿も種々用事があったようで、宇治家参去は誰もいない休日を休日として休ませて頂き、ひさしぶりに学問を何もしませんでした(本当はマズイのですが)!
梅雨から家族3人でよく都内を経めぐり廻ったな……ということで、次の山場へ向けての決起大会です!
人間という生き物、本来ひとりでできることであったとしても、それがなかなかできないという側面を有しておりますからこそ、共同存在の他の人間によって、背中を押され、できないと遠慮していたことが、そそっとできてしまうというリアリズムがあるのかもしれません。
まずはプレミアムモルツの生をイッキ飲み!
黄金色の大人の飲み物がのどをとおると同時に汗がひくのが不思議です。
初手は、脂はのっているのにさっぱりとしたえんがわで始め、お兄さんに中トロとスーパードライの瓶ビールをお願いして、ひさしぶりのお米と魚に舌鼓でございます。
大トロぢゃなければだめだ!という方もいらっしゃいますが、宇治家参去はどちらかといえば、中トロぐらいの脂ののりぐらいのやつを、1カン程度で十分だなと思う次第ですので、1枚頂きましたが、肉とはまた違った魚の「コッテリ」具合というのもなかなかです。
目の前で捌いていただいたシマアジなんぞをヒマラヤの岩塩をおろしたやつでさっぱりと頂戴しましたが、醤油ではなく塩でやりますと、シマアジの潤沢な脂身がいきおいよく“引き締まる”というのはこのことでしょうか。
種々頂戴しつつ、夏の限定メニューということで、スタミナ三貫セット(うなぎ・焙りサーモン・豚カルビ)に挑戦です。
三河産の鰻の香ばしさ、道産サーモンの豊かな味わい、そして臭さのまったくないしまりのよい豚カルビなどという、ふたたび「コッテリ」で攻めましたものですから、やはりもう一度「さっぱり」したやつを!
……ということで、久し振りにひらめをオーダーです。
こちらも醤油ではなく岩塩で頂きました。
透き通るような白身にほんのりと輝く山葵の蒼がなんとも涼やかで清げで、ひらめこそ魚の王様ではないかと思う次第です。
そのほか、鰺、小鰭なんかをちょいちょいつまみながら、冷酒へチェンジし、本日は一の蔵(無鑑査・本醸造)にて米を相手に米の汁にて勝負させて頂きました。
ぼちぼちウェップだな……帰ろうか?
……とおもったところで、店内での活け魚の捌きがはじまりましたものですから、息子殿がこれまた興奮?し、本人は食べないくせに注文されたようで……。
頂きました。
豊後水道で水揚げされたばかりの八幡勘八(だったと思います)を〆の一品として勝負!
食べ過ぎでした。
しかし朝から何も食べておりませんでしたし、米を頂くのも1週間ぶりでしたので?のでちょうどいいのかなということで。
宇治家参去自体は、古式ゆかしき伝統的な日本讃美、ナショナリズムの言説に出てくるような、職務に熱心な帝国陸軍憲兵大尉のような愛国主義者ではありませんが、日本で造られる食のゆたかな地平には毎度毎度、讃美すると言うよりも感謝せざるを得ないということで、食に対して一種畏敬の念すらおぼえるものでございます。
しかし、今回一番美味だったのは、山形名物「だし」の軍艦だったのではなかろうかと思います。最近、東京でもちらほらみかけるようになりましたが、みょうが、昆布、なす、大葉(しそ)、きゅうりをきざんだちょいとねばねばしたやつなのですが、あつい一日をおえたひとときにこれがたまらなく効く!というやつでして……。
こちらは2皿ほど頂戴しました!
さて、帰り道。
タバコとビールを求めてコンビニへよりましたが、息子殿がポケモンのスピードくじ(500円)に挑戦したところ、なんと1等賞の巨大なぬいぐるみをゲットしちゃいました。
マア、暑い夏、父母とともに闘いの戦野?に同道したご褒美でしょうか。
しかし、この手のグッズ、ヤフオクなんかで売却すると良い値がつくので出品したいところなんですが、売却しちゃうとまずいよな~。
……などと忸怩した夏の一夜でございました。
さあ、今日からまたがんばりますか!
捌きたてのしまあじ、
夏のスタミナ三貫セット
そしてしんせんなひらめ。
白くかがやく身のおくから蒼く煌めく山葵が涼味を誘います。
これですね!
豊後水道の八幡かんぱち、
そして、山形の「だし」軍艦!
夏には欠かせないひとしなです。
なんだかんだいいながらも、メニューにあればちゅうもんしてしまう生しらす。
大葉とのベストマッチです。
そして巨大なピカチュー!
だまって出品しちゃおうかな……という誘惑を乗り越えました。
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鬼平犯科帳〈13〉 (文春文庫) 著者:池波 正太郎 |
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