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「知人ハ、起ヲ知リ、蛇ハ、自カラ蛇ヲ識ル」

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四四

孟子曰、於不可已而已者、無所不已、於所厚者薄、無所不薄也、其進鋭者其退速、

孟子曰く、已むべからざるに於て已むる者は、已めざる所なし。厚くす所者に於て薄くする〔者〕は、薄くせざる所なし。其の進むこと鋭(疾)き者は、其の退くことも速かなり。

孟子がいわれた。「〔道理上〕やめてはならぬ事を平気でやめてしまう者は、どんな重要な事でも成し遂げずやめてしまうものだ。十分に手厚くすべき事柄を平気で手を抜く者は、どんな事でもやはりまた手を抜いてしまうものだ。あまりに性急に進みすぎる者は、またさっさと気早く退くものだ(熱し易いものは、またさめやすい)。」
    --「巻第十三 尽心章句上」、小林勝人訳注『孟子(下)』岩波文庫、1972年。

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……天台云く、「雨ノ猛キヲ見テ、龍ノ大ナルヲ知リ、花ノ盛ナルヲ見テ、池ノ深キヲ知ル」等云云、妙楽云く、「知人ハ、起ヲ知リ、蛇ハ、自カラ蛇ヲ識ル」等云云。天晴れぬれば、地明らかなり。法華を識る者は世法を得可き歟。
    --「観心本尊抄」、兜木正亨校注『日蓮文集』岩波文庫、1968年。

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休みでしたので、ちと論文の入力を日がな一日やっていたのですが、その途中に、人名漢字の「読み方」をネットなんかでしらべていたところがまずかったです。

細君がいきなり私室へ乱入してきたわけですが、入力画面ではなく、ネットの画面が開かれていた状況でしたので……

「遊んでいる!」

……ひとしきり説教を喰らった次第です。

すて言葉として……、
「貴方にはそれによって立つモットーとか、言葉とかないの?」

……と聞かれたので、上に引用したような孟子の言葉とかを紹介したのですが、却ってやぶ蛇だったようで……

①「於所厚者薄、無所不薄也」(十分に手厚くすべき事柄を平気で手を抜く者は、どんな事でもやはりまた手を抜いて)しまっている!

②「雨ノ猛キヲ見テ、龍ノ大ナルヲ知リ」わけですが、猛キ程雨ヲフラス龍のような状況で頑張っている様子でもないからこそ、「蛇ハ、自カラ蛇ヲ識」リナサイ!

……との厳しいオコトバを頂戴した次第です。

全く見当違いの詰問でもありませんので、ひとしき反省してから……、ちょいと仕事をしているといい時間でさすがにPCモニターに10数時間直面していると目が疲れてきましたので、適当にクローズさせていただきました。

で……注目したいのが、細君が「モットー」とか「依って立つべき言葉」として「何があるのか」と誰何した際なのですが……かえってやぶ蛇になった部分はひとまずおきますが……、注目したのは最後の言葉です。

「古典~現代西洋が専門で、東洋関係は片手間だったはずだよね?」
「はい、そうでござんす。一応、『大正蔵』(大正新脩大藏經)あたりの白文は読めますヨ」
「しかし、本職は西洋でしょ?」
「はい」
「でもモットー系は東洋(言語)なんだ!!」

……そこです。

慣れ親しんできた語感に起因するわけなのです。
どんだけ西洋の文献を原典で読んでも、なかなかモットー系の熟語として定着させるのは困難なんだよね……そのところです。
これは文化的価値の優位を競う問題ではありません。
逆にいうならば、同じように海のあちらがわに住んでいる人もその陥穽を免れることは不可能です。

ただ親しんでいる語感として、日本語の通俗表現を借りるならば、モットーには、「漢字」の「四字熟語」的なものとか、オールドスタイルの和文がしっくりとくるやつです。これが対岸でしたら、英羅の韻をふんだ章句がそれにあたるのでしょう。

本来は、西洋を主としたフィールドとする宇治家参去にとっては、もっとも西洋言語に由来する言葉をモットーとすべきで、聖書なんかの章句をそれに当てたいところなのですがなかなかそうなりません。

聖書の聖句でもいくつか当てるべき言葉もありますが、これも翻訳上の問題から、やはり文語訳のほうが「ありがたみ」があって、現代訳にはしっくりきません。

ですから翻訳の西洋文典であっても「○○だ」よりも「○○べし」とか「○○なり」って翻訳に親しみを何故か覚えてしまうものでして・・・。

そんなことを勘案すると、人間という生き物は、やはり歴史的に鍛えられた言葉……その歴史的鍛えられた経緯としてんの文化的優位の主張としてではなく、そんなことをやっちゃうと「裏返し」のオリエンタリズムになっちゃいますので……に愛着をいだいてしまうということなのでしょう。

……ということで、説教されたときには、ちょいと頭にきましたが、まあ、発想を広げる局面に火を付けて下さったという点には感謝です。

……ということで、コンビニかリカーショップでしか扱っていないSAPPOROの「ラガービール」をゲットしましたので、ちょいとこのガツンとさっぱりしたやつを頂戴してから、すこし本を読んでネンネします。

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