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不連続性がおそらくこの労役の本性

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 怠惰は何より、体を動かすとか起き上がるとかの行為の開始に結びついている。「おお、やつらを立たしちゃならぬ、難破するぞ……」とランボーは、根っからの絶望的な怠惰という膿を出す「坐りこんだやつら」のことを言う。怠惰は、あたかも実存がすぐには開始に近づかず、ある無力状態のなかで怠惰をまず先に生きるかのようにして、開始に結びつく。そしてここには、二つの瞬間の間をわずかに流れる持続の合間以上のものがある。もっともそれは、怠惰の無力状態がまた、おのおのの瞬間が瞬間としての功徳によって推敲する開始を告げるものでないとしての話だが。
 怠惰とは開始の不可能性である、あるいはそう言いたければ、開始の遂行だと言ってもいい。怠惰はなされつつある行為に内属しているとも言える。というのは、そのときまさに行為の実行は、舗装が悪くそれぞれが開始のやり直しであるようないくつもの瞬間ででこぼこした道を進むように進行しているからだ--いやな仕事は捗らず乗りが悪く、不連続に見えるが、その不連続性がおそらくこの労役の本性なのだ。
    --E.レヴィナス(西谷修訳)『実存から実存者へ』講談社学術文庫、1996年。

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昨日、原稿を入稿してから、そのまま仕事へ行きましたが、雨の所為でしょうか、すこし暇といいますか、時間に余裕があり、ゆっくりと仕事をすることができました。

休憩中には、原稿作成で後回しにしていた、来週分の短大の授業の配布物の作成ができ、休憩を遮るような難事も珍事も出来することなく、授業の仕込もあらあら完了したところです。

あとはパワーポイントとの整合性をもういちど、確認し、今晩最終調整をすれば完了です。

専門はキリスト教神学になりますが、講義で担当しているのは、哲学と倫理学。
近接する分野であり、細君のような門外漢からすれば、「どれも同じでしょう?」とのたまわれるわけですが、現実にやりますと、これが「どれも同じ」という状況ではなく、たしかに学問としては隣接している諸人文科学になるのですが、それぞれと向かいあう、探究してみますと、ひとまとめにできないものがあり、強烈な壁があったりとして……、正直なところ大変です。

哲学と倫理学の絡みでアリストテレス(Aristotle,384 BC-322 BC)の『形而上学』やら『ニコマコス倫理学』を繙きながら、その連続で中世のスコラ学との関わりをみていくという作業ならばそれでも連続性といいますか、深い連関を見出すことが可能ですが、やはりそればかりが作業ではありませんので、われながら、広い守備範囲で格闘しているわいな……などと思うことがしばしばあります。

ただ、和辻哲郎(1889-1960)は「根柢の学としての哲学にはそもそも専門などはないのだ」と指摘する部分は確かにわかるのですが、現実の作業は大変です。しかしながらそれでも、ひとりで広範囲の学問と関わるという事態は、それが契機としては無理矢理であろうが、自分自身の学の可能性を広げていてくれているのは事実であり、それはそれで有難いことだよなとも実感します。

ただしかし、まだまだその学問が自分の手足のようにはなっていない部分も自覚しておりますので、神学から哲学へ、哲学から倫理学へとスイッチを入れ替えるのは、確かに体力といいますが、ちょいと「よいしょ」が必要です。

「よいしょ」が面倒で、ときどき怠惰になってしまうときもありますが、その側面とは向かいあっていくしかありません。まさに「怠惰は何より、体を動かすとか起き上がるとかの行為の開始に結びついている」とレヴィナス老師(Emmanuel Lévinas,1906-1995)の指摘の通りです。

「不連続性がおそらくこの労役の本性」ですので、今日もちょいとがんばります。

……ということで?写真は、撮るだけとって載せていなかった一枚から。

月曜に大学に出講した際、さいきんほとんど、新設された学食でランチをとっておりますが、今がいちばんいい季節ですので、テラスで頂いておりますが、なかなかいいものです。

時間にせかされる毎日からゆっくりずらしてくれるようで、このリラックスをしてからの講義が毎度毎度の楽しみです。
後期は時間が一コマ後にずれて、ちょいと当惑したのですが、そのお陰で休息がとれるようになり、今ではよかったかも……などと思うこの頃です。

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