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『エントツ』と称して、湯気のたったあったかい牛鍋をつつき合いながら、論壇風発、意気盛んに議論を交わし合うことが度々あった

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私(片山哲--引用者注)が学生時代を過ごした大学青年会には、仙台の二高出身者が多く、博士(吉野作造--引用者注)の後輩や同郷者もたくさんいたので、寄宿舎にもよく見えられ、上杉慎吉、鳩山秀夫の両氏などを連れて来られることも多かった。(中略)吉野博士は、非常に幅広く物事を理解する寛大な人であった。『エントツ』と称して、湯気のたったあったかい牛鍋をつつき合いながら、論壇風発、意気盛んに議論を交わし合うことが度々あった。博士は常に話題が豊富であり、新しい話が尽きないので、われわれは周囲をとり囲んで、いろいろ面白い話を聴いたものだ。
    --片山哲『回想と展望』、福村出版、1967年。

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戦後、第46代内閣総理大臣を務めた片山哲(1887-1978)は、キリスト教社会主義にもとづく民権論者なのですが、彼が若き日、東大YMCA(東京大学キリスト教青年会)での思い出をつづったのが上の一節です。

この文章のなかで出てくる「博士」とは、“引用者注”で指摘した通り、吉野作造(1878-1933)なのですが、当時の吉野は、中国・天津での満三年にわたる滞在を終え、帰朝したばかりの頃かと推察されます。

帰朝後、東京帝国大学法科大学の若き助教授として就任したころでしょうか……、わかき教員と学生の交流の消息を物語る一文ではないかと思います。

片山は吉野の人格を「非常に幅広く物事を理解する寛大な人」であったと紹介しております。
そうした証言は片山に限らず、数多く存在しますので、それをそのひとつに数えることができましょうが、注目したいのは、その具体的な交流に関する記述です。

若い後輩や同輩たちと和気藹々しつつ論壇風発したその状況は、「『エントツ』と称して、湯気のたったあったかい牛鍋をつつき合いながら」行われたというのが、なんとも人間味があっていいものだよなア~などと思うの宇治家参去ひとりではあるまいかと思います。

‥‥ということで?

先週になりますが、「あったかい牛鍋をつつき合いながら」というわけではありませんが、「『エントツ』と称して」、宇治家参去一家ご用達の「旬彩ダイニング ささ花」へ行ってまいりましたので、そのフォトグラフでもひとつ。

自宅から一番ちかいところで、本格的なものを用意してくれるのはここぐらいしかありませんので、よく利用させて頂いております。
九月は訪問できず、一〇月になってから、締め切りの原稿も提出したことだし、……という「理由」にて訪れた次第です。

ここはまずもって箸付けのお通しで驚くことが多い逸店です。
今回もじっくりと選ばれたおひたしに舌鼓となりました。
下鼓とは即ち、舌が太鼓を叩くというわけですが、日本語の語彙の豊かさにも驚くばかりです。

ほうれん草と山菜のおひたしです。

素材もよいうえに、出汁が丁寧につくられているのでしょうか。
青菜の瑞々しさと山菜の深い味わいが出汁のうえでひきたっておりました。
おかげで最初に頼んだエビスの(生)を一気のあおった次第です。

さて‥‥
細君と息子殿と一緒に行ったのですが、春先に息子殿が鮭の骨をのどに引っ掛けた椿事があり、それ以来、魚を遠慮するようになってしまい、我が家でなかなか魚を食べる事出来ません。

そうなってくるとかえって魚を所望するというやつで、刺身の三点盛をひとつお願いしましたが‥‥

生サーモン、かんぱち、まぐろ!のご入場!

久しぶりに「いいもの」を頂きました。

魚に唸りながら、旬のものを!と注文していたのが季節のメニュー「焼き茄子と生ハムのサラダ」です。
控えめにご臨席あそばされましたが、茄子はどのように食べてもこの時節、旨い一品なのです。

控え目なドレッシングに彩られた茄子と生ハムに「食欲の秋」を堪能した次第です。

串モノをちょいちょいビールでやっていると、次にお出まししましたのが、これも同じく季節のメニュー「エビの牛蒡揚げ」であります。

要は、ほそく削った牛蒡を衣にして素揚げした一品です。牛蒡を纏った海老さんということです。
素朴といえば素朴であり、かつユニークな逸品ですが、味付けは塩だけにもかかわらず、ベストマッチにて、牛蒡の衣だけを食べてもよし、海老と一緒にやってもよし、海老だけ食べてもよしというわけで、一点にて三度おいしいとはこのことだろうと思った次第です。
※ちなみに宇治家参去は海老がNGですので、牛蒡だけでやったのは言うを待たない。

で‥‥、
ちょゐ腹にたまるものをということで、季節のピザ「今月のピザ B・B・Qハンバーグピザ」を頼んだ次第です。

ハンバーグ、チーズ、ハム、etc‥‥をのっけ盛りにして焼いた一品ですが、なかなか味わい深く、ピザに対する印象を改めた次第です。

ピザとは単純化すれば、生地に、まあ好きなものをのせて焼くだけというシンプルなメニューですが、その好きなものを考えるとバリーションは無限大であり、これはひょとすると西洋の「お好み焼」ではなかろうか‥‥などと思われて他なりません。

「お好み焼」ならば決め手のソースはどうなるのか‥‥と当然問いが立つわけですが、早計すること勿れです。ピザにおいては「お好み焼」のソースにあたるのは、実はまぶされた「チーズ」であり、その味わいと焼き具合が、「お好み焼」の万に数えられるバリエーション、味わいと同じ機能を果たしているのではないだろうか‥‥一口一口ほおばるたびにその想像はたくましくなるものです。

さて‥‥

定番メニューをその合間合間にいれつつ、酒も日本酒へと切り替え、今回も「黒龍 大吟醸」を二合ほど頂戴しながら、そろそろ締めますか‥‥

‥‥ということで、おにいさんに、

「メニューにのってない酒ってありますかねぇ」

‥‥と聞いたところ、

‥‥宇治家参去の滑舌が悪かったのかも知れません。

「今日は、かんぱちのカマ焼きがありますよ、いいところがはいったんです」

……とのことだそうな。

「『十四代』の吟選がはいっていますよ」

……というのを期待したのでが、「かんぱちのかま焼き」も珍しいということで、そして、やはり魚を食べたいということで頼み、締めにビールをもうひとつお願いしました。

待つことしばし。

出てきました!
本日の真打ちの登場です。

ひさしく食べておりませんが、ぶりかまなんぞはたまにやりますが、同じ系列でも「かんぱち」というのは、はじめてで、まずはざっくりと脂ののったところからご挨拶です。

口に入れると、たしかに身は引き締まっているのですが、とけていく!
味付けは塩だけなのですが、臭みもなく豊かな味わいに、海の幸に自然と合掌してしまう宇治家参去です。

日本の秋の味わいはなんともいえぬ乙なものでございます。

一緒に頼んだ、「アスパラとエリンギのパルメザンチーズ揚げ」もチーズによってアスパラとエリンギの旨みがいっそう引き出される逸品ですが、まったく諄くなく、サクッとした歯ごたえと同時にチーズのとろけだし、アスパラとエリンギが口蓋にて顔を出し始めますと、もうそれはパラダイスというやつで……。

そうしたひとときを堪能したひとときでした。

さて……帰りぎわ、馴染みになりつつあります店長さんと日本酒の話しをしておりますと、

「来週ぐらいに「十四代」が入ってくるんですよ」

……とのお知らせを頂戴しました。

さて、どうしましょうか?

吉野博士は「『エントツ』と称して、湯気のたったあったかい牛鍋をつつき合いながら、論壇風発、意気盛んに議論を交わし合うこと」が「度々あった」そうなので、また「度々」行かざるを得ませんですねえ。

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やはり秋=茄子ですなあ。

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人間の想像力のたくましさこそ創造力なのかもしれません。

海老は頂けませんでしたが、衣だけでも十分美味しい逸品です。

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ピザを侮るとたいへんなことになってしまいます。

しかし、Piza=大阪文化とすれば、大阪人とイタリー人には陽気が共通している点では、不可避的に生まれだされた食文化かもしれません。

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子供の時分、魚が苦手でした。

ですけど、体験にうらづく最近の実感としては、魚を食べることが出来ないことほど、人生における“損”はないと思うのは宇治家参去一人ではあるいまい。

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チーズ揚げと耳にすると、そのくどさが先立ちそうですが、早計することなかれ。

揚げることによって、かえって旨みが凝縮され、くどさが落とされます。

細君は締めに、カボチャのブリュレを頂いておりましたようです。

息子殿は、食後の運動?にと、縁石であそんでおりやした。

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