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影さへに今はと菊のうつろふは波のそこにも霜や置くらむ

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同じ御時大井河に行幸侍りける日
    坂上是則

影さへに今はと菊のうつろふは波のそこにも霜や置くらむ
    --「巻第六 冬歌 623」、佐伯梅友校注『古今和歌集』岩波文庫、1981年。

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祖母が菊を育てていた所為でしょうか。
菊の匂いをかぐと、秋の終わりをしみじみと実感する宇治家参去です。

子供の頃は、この花をそだてて何が楽しいのか……、まったく理解することができませんでしたが、……三つ子の魂百までもということなのでしょうか、30を超えてからドストエフスキー(Fyodor Mikhaylovich Dostoyevsky,1821-1881)がリアルなものとして理解できるようになったように、菊の美しさやそのよさを理解するようになったのかもしれません。

例年よりいちはやく訪れた秋の終わりを実感しますが、古今集で歌われるように、「霜や置くらむ」ほど、その到来は「かそけき」状況ですが、それでも、夜になると10℃を下回る底冷えで、一月前とはうってかわった季節の移り変わりに驚いてしまうものです。

さて、勤務している大学では、毎年「観菊会」でもいえばいいのでしょうか……、正門前で一週間程度ですが菊の展示が行われます。

紅葉と秋の抜けるような青空にぽっかりと浮かぶ真っ白な雲ような菊の彩りと匂いに圧倒されてしまいます。

派手でもない、可憐でもない、しかし何にも代え難い菊の自己主張には、なにか生きる力を教わってしまうというものです。

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大輪です。

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くどくない鮮やかさです。

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