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「なるほど枕はない筈だ、これまで枕をして寝たことがなかったから」と初めて気が付いたころ(2)

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書いている途中で、講義時間になってしまい中途半端ながら、「またあとで・・・。」としてしまったので……続き。

ただ、何を書こうとしていたのか失念したいたところもありますが、放置するわけにも行かず……。

……ということで、とりあえず適塾時代、遊びも、酒も、勉学もとことんまで修養した福澤諭吉(1835-1901)の言葉に耳を傾けていたわけですが、宇治家参去の場合、学が行き詰まった場合、必ず繙くのが、福澤の自伝『福翁自伝』というわけです。

なにもかも闊達として語る福澤の肉声に、背中を押されてしまうわけなのですが、「とことんまで」なにをやるというのは……しかしながら同時に息抜きも必要ですけど……、老若男女かかわらず、人間形成においては必要不可欠なのだろう・・・そう思われる昨今です。

対象は何でもいいのでしょう。

そしてその営みが、マア最高点に達するとは行かないまでも、中途半端を排したものであった場合、状況がどうであろうとも、「なんとかなる」「なってしまう」人間になるのではないだろうか……そう思います。

思えば、福澤は長崎・大阪時代に蘭学に励み、オランダ語をマスターし、修学後江戸へと赴きます。江戸へ到着翌年(1859年)、開国後、外国人居留地となった横浜の見物へ出向き、マア、有名な話ですが、それまで刻苦勉励してきたオランダ語が一切通じない状況に直面します。

外国人商人の掲げる看板すら読めないわけです。

オランダ語ではなく英語というわけで、その状況の転変に衝撃を受けてしまいます。

しかし、福澤らしいですが、それぢゃあということで、蘭学へ引きこもるわけでもなく、さあ、それでは、英語が必要か……というわけで、英蘭辞書などをたよりにほぼ独学で英語の勉強をしはじめ、その翌年には咸臨丸でアメリカへ渡ってしまうというわけです。

もちろん、宇治家参去を含め、福澤のような才知はないかもしれませんし、気力体力も劣るのは承知です。

しかし、どこかで「とことん」までやった人間は、何か状況の転変に出逢ったとしても、福澤が英語をマスターしたような状況とは一致するかどうかは保障することはできませんが、それでも「なんとかなる」「なってしまう」のかなあ……などとぼんやりと思われます。

ちょうど、昨日、短大での後期の哲学の講座が最終講義を終えましたが、今回で7年目となりました。

若い学生さんの姿をみていると、通俗的な地の言葉で恐縮ですけども、「がんばっている」と「思いもかけない」ところから「なんとかなる」「なってしまう」という状況を目の当たりにするものですから、そうした想念が益々強まるばかりです。

また自分自身も、頑張ろうと思い直し、道を進んでいくことができるところが不思議なものです。

さて……。
基本的にはシラバス通りに授業を進行させるわけですが、今回はシラバス、教材ありきというよりも、学生さんたちの関心に従い、授業を組み立て直しましたが、これがかなり大変でした。

しかし、結果としては、……こういうのを手前味噌・自画自賛・八風におかされているとの批判は承知ですが……、7年やった中では一番、よくできたのではないか……そう思われてしまいました。

ですから……、そういうわけではないのですけども、15回目の最終講義を終えると、なんだか、「もうこれで終わりか……」というような 寂寥を味わうってしまうとでもいえばいいのでしょうか・・・、まだまだ至らない所は多々あることは承知なのですが、ちょいとそう感じてしまいました。

未来の福澤諭吉たちに幸あれ……そう思う次第です。

ただし、この修学の仕込とは、若い人たちに限定された問題ではありません。

思い返せば、福澤が英語を修学し始めたのは、24歳になってからです。
いうまでもありませんが、これは現在の24歳とは意味が意味が違います。

英語を学ぶ前に、寝ても覚めて蘭語と格闘した自分自身の歴史があったからこそ、逃亡ではなく挑戦できたのだと察せられます。

さて……。
これにて、短大での講義は4月までなし。
本年度は残すところ、通信教育部の週末のスクーリング講義のみとなります。

こちらも、また新しい歴史を構築する挑戦の節目にしていきたいと思います。

……ということで???

昨日は、昼食に学食で、日替わりの「ロコモコ丼」を頂戴しましたが、チト味がくどかった……次第です。マア若い人にはいいのでしょうが、ただし、スープが付いて350円というのはやはり安いです。

……とりとめのない日記となって恐縮です。

しかぁ~し!

一昨日をもってしまして、一年間一日も休まずに日記を書き続けたことは……我ながらよくやったものだ、……そう思いたいところです。

最近クオリチーが落ちているので、もうちょいとがんばります。

……ということで???

最後に福澤の昨日の文章の続きの一節をどうぞ。

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 それから緒方の塾に這入ってからも、私は自分の身に覚えがある。夕方食事の時分に、もし酒があれば酒を飲んで初更(ヨイ)に寝る。一寝して目が覚めるというのが、今で言えば十時か十時過ぎ。それからヒョイと起きて書を読む。夜明けまで書を読んでいて、台所の方で塾の飯炊きがコトコト飯を焚く支度をする音が聞こえると、それを合図にまた寝る。寝て丁度飯の出来上がったころ起きて、そのまま湯屋に行って朝湯に這入って、それから塾に帰って朝飯を給べてまた書を読むというのが、大抵緒方の塾に居る間はほとんど常極(じょうきま)りであった。
福澤諭吉(富田正文校訂)『新訂 福翁自伝』岩波文庫、1978年。

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配信元:電子書店パピレス
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