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「その当り前のことを、人という生きものは、なかなかに、のみこめぬものなのさ、このおれもそうだが……」

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 「もとはといえば、稲垣信濃守様の家中で起きた喧嘩沙汰から、佐々木典十郎が敵討ちの旅へ出たのが、はじまりなのだ。それがために滝野川村の小娘がひどい目に会い、ひいては盗賊の神取一味へまで波紋がひろがり、このため、長崎屋と釜屋の二つの商家が難をまぬがれた……となると佐々木典十郎の愚かな所業が、二つの商家の人びとのいのちを兇賊どもの手から救ったことにもなる。なんとおもしろいではないか、左馬之助」
 「なるほどなあ……」
 腕をこまぬいた岸井左馬之助が、深刻な顔つきとなって、すっかり考えこんでしまったのをながめやりつつ、宇治家参去は煙管に煙草をつめた。
 「どうした、左馬……」
 「いや、その……妙に、胸が重くなってきて……」
 「うふ、ふふ……」
 「可笑しいですかな?」
 「いや、別に……なあ、左馬之助。これが浮世の仕組みというものなのだよ」
 「浮世の仕組み、ね……」
 「人が何かを仕出かすことは、必ず、何らかの結果をまねくことなのだ。当り前のことだがね」
 「ははあ……」
 「その当り前のことを、人という生きものは、なかなかに、のみこめぬものなのさ、このおれもそうだが……」
 いいさして平蔵は、さも、うまそうに煙草のけむりを吐き出し、
 「のみこめていりゃあ、人の世の苦労もねえわけだが……」
 わだと伝法な口調で、こう、つけ足した。
 「そのかわり、つまらねえ世の中になってしまうだろうよ」
 雨足が、強くなってきている。
    --池波正太郎「浮世の顔」、『鬼平犯科帳 新装版(十四)』文春文庫、2000年。

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ちょいと昨日のこと。

まず起きると細君からお説教。

昨日が誕生日だったので、日付変更線と同時に、「誠醸辛口 出羽櫻」(出羽桜酒造株式会社/山形県)の四合瓶と体を張った格闘戦を展開していたので、朝起きるとチト辛かったのですが、痛り目に祟り目というのはこういうことをいうのでしょうか。

チト辛い状況の指摘ではありませんが、別件にて細君にずっぽりと絞られた宇治家参去です。

ちょうど、自分が通信教育部で教鞭を執った学生さんからの進物が配達されたようで……、

「教師として何しとんじゃ、ボケ」

とのことで……絞られた次第です。

昨年の3月にも同じような進物があり、ずっぽりと絞られたわけなのですが、要するに、「教師が学生からもらってどうする! 教師こそ何か学生におくるべきだろう、ボケっ」って怒鳴られる始末です。

その言説には、それはそれで100%納得するので、

「学問と愛をおくった」

……などと口にすることを察したのでしょうか。

「愛とか学問を送られたのは、アンタでしょ! これもをもって本末転倒という」

……だはぁ~って、うなだれつつ、十三階段を登るまえに、教誨師の説教を粛々と聞いた次第です。

しかしながら、浅はかさを〝売り〟とする宇治家参去ですから、脳内において問題に対する思想的な知的格闘戦を取り組みつつも、やはりそれはそれで、嬉しいと感ずる次第ですので、「人間とは何か」……まさにひとつに定義することは不可能である、その状況だけは深く噛みしめた次第です。

カラマーゾフの血が色濃く体内で臭っているのかもしれません。

さて銘酒は「梵 日本の翼 純米大吟醸」(加藤吉平商店/福井県)

福井県の純米吟醸は恐るべしです。
〝日本の翼〟との銘のごとく、政府専用機の機内酒に採用された一品で、国賓をもてなす日本を代表する銘酒とのこと!

セレクトの感謝しつつ……、以下が大事!

「何か目をむくお返しをいたしますので、お楽しみに」

……ということでお許し下さいませ。

さて……。
2月の最終週ぐらいになると、勤務している大学の卒業式の案内がぼちぼち来るのですが、今年はなかなか到着せず。

ひょとして、学生さんと一緒に学生気分で酒飲んでひっくり返っている行状からして、この人間は、世紀の殿堂に招待するのは憚られているのか……!

……がっくしorz、と凹みつつ、

「たぶん、そうだろう、この背教者!」

……と細君の冷ややかな罵声を浴びつつ、

「いや、オレは背教者ではなく、単なる愚か者であって、背教者はユリアヌス(Flavius Claudius Julianus,331/332-363)だろう、、、しかもユリアヌスは背教者というよりも、宗教的多元主義のひとつの事例として見ることも出来る……」

……などと頭を悩ませつつ、ポストを見ると、

嬉しいことに本日卒業式の出欠連絡が到着しておりました!

ふぅ、よかったです。

まずはそれまでにひとつの学問の仕事を終わらせて参加しようかと思います。

……と心穏やかならぬ一日でしたが、38歳の初日とはこんなものでしょうか。

夕刻から、用事があったのひさしぶりに豊島区巣鴨へ。
ま、要件は、とげ抜き地蔵ではアリマセンし、毒蝮三太夫(1936-)の辛口ツッコミ観察でもありません。

「途中に何があろうと最後に勝て。最後に勝てばそれが勝利だ! 」

とりあえず、これでいきましょう!

何かあった方が絶対に面白いんです。

まさに、何もなく、すとんと理解したりとか、目的を達してしまったりすると、長谷川平蔵が伝法な口調で言ったとおり「そのかわり、つまらねえ世の中になってしまうだろうよ」という状況になるんでしょうねぇ。

「浮世の仕組み」を自分で組み立てながら、銘酒によいつつ、難局と優雅に対峙しつつ、歴史を積み重ねていこうと思う宇治家参去でしたっ!

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