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「日々眼前に行われる平凡なる現象を分析し解釈することによって、最も具体的なる人生の相を理解」しようとした一事例???

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繊細の心は明らかにひとつの直観である。しかしながらその故をもって直ちにこの概念において何か神秘的なるものを想像するのは誤解である。この誤解を避けるためにはまず最初に、パスカルの挙げた幾何学の心と繊細の心との区別がメレに暗示されたものであることを想い起すのが好い。メレはこの世のあらゆる事情に通じ、快く寛いだ生活に関するすべての事柄に秀いでていた。彼は社交を好み、そして最も勝れた座談家であった。彼はほとんど見分けのつかぬひとの様子によって感情と思想とを知る本能力をもち、この洞察によって彼は彼の交る人達に対して最も適わしいものごとを見出すことを知っていた。このメレがいう、「エスプリは一種の光である。それはあたかも閃光の如く一瞬においてすべての側に拡がる。」「エスプリは事物を理解することにおいて、それをすべての方面から考察するに熟していることにおいて、それが何であるかについての正しい値打ちについてきっぱりと判断することにおいて、それが他のものとの如何なる共通点をもち、また如何なる点で相違しているかを識別することにおいて成立している。」ここにいわれ直観的なるエスプリが神秘的な何物をも意味しないことは疑われない。メレとの会話はながくパスカルの記憶にとどまり、繊細の心を論ずるにあたって彼はその典型としてメレを念頭においたのである。第二に、パスカルが人間と生とを語るに際して、彼の好んで取扱ったものは賭事や猟や恋愛であった。彼は日々眼前に行われる平凡なる現象を分析し解釈することによって、最も具体的なる人生の相を理解しようとする。人間に関する知識において彼の重んじたのは、「生の日常の対話によって生まれた思想」(penesées neées sur les entretiens ordinaires de la view,18)であった。繊細の心は何よりも人生の日常の現象、平凡なる事実を正しく理解する方法である。「繊細の心にあっては、原理は普通の慣用のうちに、すべての人の目の前に(dans l'usage commun et devant les yeux de tout le monde)ある」(1)とパスカルは明らかに述べている。繊細の心が神秘的なる直観を意味し得ないのはもとよりである。かくいうとき、今の時代の人々は生の哲学をもって「常識の哲学」に過ぎぬとして嘲笑うかも知れない。しかしながら人間の存在を具体的に理解しようとする者は、常識に対して最も真面目になるべきである。これを怠るとき哲学は地盤なきものとなる。なぜなら哲学もまた生の現われでり、人間の特殊なる存在の仕方に外ならないからである。自己の在るがままの状態を正しく理解することは、深遠なる理論、高遠なる理想を論議するにも増して大切である。
    −−三木清『パスカルにおける人間の研究』岩波文庫、1980年。

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再度、戦前日本を代表する三木清(1897-1945)のパスカル論を繙きながらひと宇治家参去です。パスカルの人生〝描写〟にはいつも目をハッとさせられることが多いのですが、そのパスカルの姿勢をうまく表現したのが、三木の手によるこの『パスカルにおける人間の研究』なのかもしれません。

倫理学のアプローチとは、哲学のアプローチと全くことなります。
ラファエロ(Raffaello Santi,1483-1520)の『アテナイの学堂』(Scuola di Atene)を想起して頂けるとその特徴が一目瞭然です。

アリストテレス(Aristotle,384 BC-322 BC)が、大地を指差し真理は現実に内在すると説き、師のプラトン(Plato,428/427 BC-348/347 BC)は、天空を指差し真理は現実とはかけ離れたイデア界(真理の世界)に存在すると説きましたが、ラファエロの『アテナイの学堂』ではこの両者が画面の中央に描かれております。

現実世界を丹念に開拓することで真理へ到達しようとするアリストテレスの手法が倫理学の観点であるとすれば、ぐだぐだな現実を、真理自体の眼から批判・照射しようとするのがプラトンの手法であり、哲学……狭義の「形而上学」……の観点でしょう。

そして現実から真理を仰ぎ見ようとする倫理学的な好事例が「人間は考える葦である」(『パンセ』)との言葉で有名なモラリスト・パスカル(Blaise Pascal,1623-1662)ななのだと思います。信仰に関しては厳格なジャンセニストとして知られており、一種、真理と現実の二分論を唱えているかのようなフシも否定はできませんが、彼の真骨頂はそこにはないのでしょう。

真理は啓示されているとしても、現実との係わりが必ずあるはず……そこがパスカルの出発点かも知れません。その痕跡を探究することで真理を開示できるという方向性といえばいいでしょうか。真理の側から一足飛びに現実を一挙にみてしまうと、カント的な批判哲学の視座としては成立するのでしょうが、真理の保持が、これまたカント的な認識における「物自体」の議論を思い起こすとハナから真理の保持は不可能ですので、真理の側から現実を見るという行為は、まさにジャンセニストが批判してやまない人間の「思い上がり」になってしまいますので、慎ましく現実から見ていこう……それがパスカルのものの見方かもしれません。

それが三木の指摘する「繊細の心」なのでしょう。

現実を離れて真理は存在しませんけども、真理自体も現実を離れては存在しない。だからこそ日常生活に注目し、発見し、自分で考え、独り善がりにならないように探究する……そうした心が必要なのかも知れません。

ですけど、それは限られた知的エリートとか卓越した宗教者にしかできないわけではない……パスカルの言葉や三木の言葉に耳を傾けると、そういうところをなにがしか実感してしまいます。

三木が語る次の言葉、すなわち「彼は日々眼前に行われる平凡なる現象を分析し解釈することによって、最も具体的なる人生の相を理解しようとする。人間に関する知識において彼の重んじたのは、「生の日常の対話によって生まれた思想」(penesées neées sur les entretiens ordinaires de la view,18)であった。繊細の心は何よりも人生の日常の現象、平凡なる事実を正しく理解する方法である」との一文はどこかに心がけておきたいものです。

……ということで、「日々眼前に行われる平凡なる現象を分析し解釈することによって、最も具体的なる人生の相を理解」しようと試みたわけですが……。

ハイ、旦那!

本日は2月25日は、現SAPPOROのヱビスビールが、パリ万博で「金賞」を受賞した日に当たります。キャンペーン的には「生誕120年」というフレコミになりますが、その時代に発売から10年……惠比壽麦酒@日本麦酒醸造會社の販売は1890年……ですでに世界的な名声を獲得するとは驚くばかりです。

……ということで初春から晩春にかけて限定醸造されるのが「シルクヱビス」でございます。昨年より発売が開始されましたが、女性向けにやわからな味わいに醸造されたプレミアムビールというものになりますが、これがこの季節、めっぽううまいというものです。
早速ゲット……実は勤務している市井の職場にはすでに一週間以上前に到着しておりましたが、解禁は昨日で……しましたので、まあ、いっぺえやっている次第です。

ヱビスの120歳の誕生日……精確には130歳……にはヱビスビールで乾杯!

変わらぬこだわりのうまさに脱帽です。

……ということで

「日々眼前に行われる平凡なる現象を分析し解釈することによって、最も具体的なる人生の相を理解」しようとした一事例!!!

日常生活だけでなく、物に対しても、そして人に対しても、そして自分自身に対しても、常に「繊細の心」をもって接して参りたいものです。

まあ、日常とは豊かな世界ですワ。

ブログネタ: ヱビスはうまさで120年!ヱビスへお祝いコメント大募集!参加数拍手

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