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「綿入れ」「火おこし」「湯たんぽ」……を説明せよ!

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 初の子供向け小説を毎日小学生新聞で連載 山本一力さん(62)
 「うわあっ!」。明け六つ(午前6時)過ぎ、障子戸を明けた大助が歓声を上げた。
 「たったひと晩で、こんなに積もってらあ」--。
 やぶ入りの1月15日早朝、雪に覆われた幕末の江戸・深川から物語は始まる。
 時代小説で下町人情を描いてきた直木賞作家が初めて、子供向け小説「とっぴんしゃん」を4月5日(一部地域6日)から毎日小学生新聞に連載する。「子供だからといってタッチは変えません」と意欲的だ。
 盗賊一味の千両箱を偶然掘り出してしまった8人の子供が、大人顔負けの知恵と得意技で一味に立ち向かう冒険活劇。「子供のころ、街頭紙芝居を楽しみにしていた。同じように、今の小学生が毎日、待ち遠しくなるような、わくわくする物語を書きたい。8人が頭の中で跳びはねているよ」と、楽しそうだ。
 「綿入れ」「火おこし」「湯たんぽ」など、子供になじみの薄い単語も並ぶが、「意味がわからなくても、前後の文脈から読み解く力をもっているはず」。身の回りのものを工夫して遊ぶたくましさ。けんかをしても仲直りをし、困ったら助け合う強いきずな。人と人とどうかかわりを持てるのか、現代人へのヒントにもなるか。「物語が話題になって、子供同士が仲良くなってくれればうれしいね」
 挿絵と題字は版画家の原田維夫(つなお)さん。息の合ったコンビで小さな読者を9人目の仲間に招き入れる。文・篠口純子 写真・梅田麻衣子
    --「ひと 初の子供向け小説を毎日小学生新聞で連載 山本一力(62)さん」、『毎日新聞』2010年3月31日(水)付。

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このところ……実に、猫の手よりも助手を雇いたいぐらい忙しい宇治家参去です。
連日、まともに考察、すなわち知的格闘戦ができず恐縮ですが、本は読んでおります。
ただなかなかそれを考察のレベルに移すほど時間がなく、あいスイマセン。

さて、冒頭には時代小説家・山本一力氏(1948-)のインタビューを引用しましたが、山本氏の著作は殆ど読んでおります。

山本氏の時代小説で特徴的なのは、筆致が成長するというところでしょうか。

デビュー作といってよい『蒼龍』(文春文庫、2005年、「讀物新人賞」受賞は1997年)にしても、直木賞を受賞した『あかね空』(文春文庫、2004年、「直木賞」受賞は2002年)にしても、時代小説としては文体が〝硬い〟……という印象がありました。

ただ「生きる」ことにこだわりつづけながら筆致されたその言葉に寄り添っていくと、時代を重ねるにつれ、深化(=進化)していくとでもいえばいいでしょうか……。

そんなところを感じてしまい、

「次はどのようになるのか」

筋ではなく、作家の息吹を求めるようになって今日まで読み続けている作家のひとりであります。おなじような作家として「若手」?の時代小説家でいえば乙川優三郎氏(1953-)にも同じような〝におい〟がありますので、ついつい新作がでますと、まずは文芸雑誌を立ち読みで通読、単行本購入という流れになってしまいます。

さて、楽しみなのは小学生向けの「時代小説」!
「冒険活劇」としての筋にも勿論興味がありますが、それよりも注目したいのが「意味がわからなくても、前後の文脈から読み解く力」の描写というところです。

哲学とか思想をやっているとこのあたりの力が試されることを至極実感いたします。

要するに変換不可能な言葉ってやつがあるんです。

それを通俗的には難しい「専門用語でしょ」ってスルーされてしまうのが実情なのですが、哲学・思想に関わりなく変換不可能な言葉ってあるんです。

ですけど変換不可能であったとしても「意味がわからなくても、前後の文脈から読み解く」……いいかえれば「フォロー」することによって、その言葉に近接することだけは可能なんです。

そのことを授業をしながら、いつもこころがけてはいるのですが……。
ひとつの参考になりそうです。

同語変換が不可能なのが世の常です。
しかしフォローは可能なんです。
フォローを構成することで大切に反比例の線曲のごとく肉薄することは可能なんです。
もちろん、肉薄していく構成力は当事者にゆだねられてしまうのですが、安易な同語変換をさけながら、考え、肉薄していく……じつはそこに学問の醍醐味があるんです。
※いうまでもありませんが、大乗仏教における存在論の形而上学的探求とか師・レヴィナス老師(Emmanuel Lévinas,1906-1995)の存在探求における言語の超越というような深淵性からみれば一次応対の本質開示でないことは承知ですが、とりあえず……。

……ということで。

「綿入れ」「火おこし」「湯たんぽ」……。

別の言葉によって説明するというのは結構労力のいることです。
読者諸兄、相手が何も知らない人と想定しながら、説明してみませんか??
知的遊戯のそしりを受けるかもしれませんが、是非挑戦を!!

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あかね空
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