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①自然的に息づいている周囲世界のなかに、人間的な生の関係がどのように立ちあらわれるか

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 ほんらい私たちと共にというしかたではなく、私たちの周囲でというかたちで生き、手もとにあり、また手まえにある世界を、私たちはもっともひろい意味での周囲世界と名づけることにしよう。その場合、周囲世界のうちに共同世界が立ちあらわれるしだいをめぐる問題は、ふたつに分かれることになる。①自然的に息づいている周囲世界のなかに、人間的な生の関係がどのように立ちあらわれるか。②人間がつくり上げる製作品の世界のなかで、人間的な生の関係がどのように立ちあらわれるか。製作品の世界がじじつ存在し、またそれをじじつ理解するうえで、共同世界が構成的な意義を有していることは目につきやすい。だが他方、自然的に息づいている、自立的な周囲世界を理解するうえでのその意義は、明白ではない。
    --レーヴイット(熊野純彦訳)『共同存在の現象学』岩波文庫、2008年。

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ハイデッガー(Martin Heidegger,1889-1976)に師事したユダヤ系哲学者レーヴィット(Karl Löwith,1897-1973)が指摘するとおり、②の製作品の世界の存在を了解することよりも①の「自然的に息づいている、自立的な周囲世界を理解する」ことの方が確かに難しそうです。

ただしかし関心と生への従属が見失わなければ、周囲世界というものは「ばらばらで無秩序に」ならべられているものではなく、いっさいが内的に直接に理解可能なしかたで互いに関係づけられているというものんだろうと思います。いうなれば、生の関係にぞくする、さまざまな生の関心に応じて、すべてが互いに所属しあっているのが、私たちの周囲世界というものなんだろうと思います。

まさにそれは、ディルタイ(Wilhelm Christian Ludwig Dilthey,1833-1911)が、他者理解のすべての出発は「実践的な生の関心から生ずる」と語った通りです。

さて……。
風の強い一日でしたが、表にでますと桜が見頃を迎えた東京でございます。

桜並木をくぐり抜けて市井の職場へ通勤しましたが、強い風にものともせず、大輪を大きく咲かせた桜の花びらにいっしゅの感動を感じつつ、こうした「自然的に息づいている、自立的な周囲世界を理解する」ひとときでございました。

自然の営みに感謝でございます。

さきほど仕事が済んで帰宅しましたが、「周囲世界」への感謝の念を、観念論的な想念で終わらせてしまうと、

「これは、ひとつもうしわけない」

……ということで、細君が毎月1本購入してくれる地酒を栓を切らせていただかざるを得ない……断腸の決断というやつです。

本日の一本はこれでございます。

「上喜元 特別純米 からくち」(酒田酒造株式会社/山形県)

宇治家参去がこよなく山形の地酒を愛飲するものですから、テキトーに選んだのだと思いますが、ハイ、間違いのない1本でございました。

「美山錦」「雪化粧」を磨き上げたの特別純米酒で、深みのある旨みとコクがほどよく目立つにもかかわらず……、スッキリとした喉ごしでキレのある味わいに、脱帽というやつです。

クセがあるようでクセがないんです。
しかしほどよく余韻が醸し出されてしまう……。

何杯でもいけちゃうヤバイ一品です。
ま、これも「周囲世界」への感謝の念ということで……、杯、もといハイ。

さて……。
本日は勤務校の入学式でございます。
早々に寝ましょう!

おやすみなさい、桜さん。
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