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【覚え書】「読書 中勘助せんせ 鈴木範久著 感銘深い師弟の交流を詳細に」

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こんばんわ。

学問の恩師・鈴木範久先生の近著を紹介した書評がありましたので、ひとつ【覚え書】として紹介しておきます。

表題となっている中勘助(1885-1965)の作品ですが、岩波文庫で刊行されている『銀の匙』、『犬』、『提婆達多』あたりは読んだこともありますし、中勘助の淡泊ながらも誠実な筆致、そしてテーマとなる〝欲〟の問題には若かりし頃、深く感銘は受けたことがあったのですが、「中勘助せんせ」と慕われる人間交流のドラマがあった事実は、正直なところ、本書を手に取るまで知りませんでした。

このあたりが、恩師の真骨頂のひとつなんです。

表層的に固定化された評価ってものが、だいたいどの分野・問題にもあるわけですが、そうした典型的な表現というものは、えてして氷山の一角なんです。その氷山の見えない部分を丹念に紡ぎ出すところに、凡愚の末弟子はいつもうならされてしまう……というわけです。

ですから、いつも著作や文章を読んでいると、「使徒行伝」(9章18節)に出ているとおり「目からウロコ」という状況です。

いろんな先生を見てきましたが、いや、本当にここまで守備範囲が広いといいますか、すべてを概観しつつも、深く、そして初学者にも優しい先生というのは、鈴木先生をおいては他にはいない、といっても過言ではありません。

ですからね……、
鈴木せんせの著作が紹介されているのに少し嬉しくなってしまい、舞い上がっているところです。

うれしいです。

自分自身の研究も少し進んでいないところがあり、恩師の膝下を半年あまり訪問しておりません。

ちかいうちに伺おうかと思います。

ふがいない弟子で非常に、申し訳なく思う宇治家参去です。
しかしながら、偉大な学問の師匠を授かることができたのは、身に余る幸福というやつです。

チト、そのコンテンツをコンテンツたらしめる一歩一歩の歩みを今日よりまた丁寧にやっていこうかと思います。

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読書 中勘助せんせ 鈴木範久著
感銘深い師弟の交流を詳細に

 『銀の匙(さじ)』の作家・中勘助には、彼を慕って訪ねてくる青年たちの集まりがあった。本書はその中のひとり、塩田章が残した詳細な記録から書かれたもの。
 この師弟の交流は昭和12年に始まる。日中戦争のため召集令状の届くなか、勘助の著書に感銘を受けた学生が門を叩いたのだ。
 「中先生は中せんせとよびたい。せんせいといはずに小学校のこどもたちが答えのできたときに、教壇の先生に手をあげていふときのせんせである」
 中勘助は、文壇とも距離を置き、地味で静かな生活を送っていた。一方、塩田章は無教会派のキリスト教伝道者として生きた。塩田の清貧な暮らしぶりは埼玉・越生(おごせ)の〝雀のお宿〟として勘助の随筆にしばしば登場するようになる。
 師と弟子であって、仲の良い親友のような、離れがたい関係は昭和40年の勘助の死まで続く。塩田は勘助の「心のあたたかさ、誠実さ、淡泊、自由」を敬愛し、「勘助の方も好んで青年たちのもとを訪れている。あるときは長い手紙により、あるときは足を運んで」。それは「教育意識のない教育」であった。
 「中せんせ」と呼び、人生の悲喜を心おきなく師に語りえた塩田の幸福。彼の記録はまた、漱石に賞された〝中文学〟の行間をも説明してくれる。(尚)
 ●岩波書店・2310円
    --「読書 中勘助せんせ 鈴木範久著 感銘深い師弟の交流を詳細に」、『聖教新聞』2010年5月12日(水)付。

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中勘助せんせ Book 中勘助せんせ

著者:鈴木 範久
販売元:岩波書店
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コメント

はじめまして。さとうといいます。
中勘助の「銀の匙」が昔から大好きでした。
この本も読んでみたいを思っています。
出も少し、値段が張るようですね。

投稿: さとう | 2013年1月29日 (火) 06時39分

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