« 【覚え書】「読書 中勘助せんせ 鈴木範久著 感銘深い師弟の交流を詳細に」 | トップページ | 「酒が出た。 平蔵の顔に活気がみなぎってきはじめた。」 »

倫は「なかま」を意味する

02_img_0897

-----

 さて倫理という言葉は、「倫」「理」というニ語から成っている。倫は「なかま」を意味する。「なかま」とは一定の人々の関係体系としての団体であるとともに、この団体によって規定せられた個々の人々である。シナの古代においては父子、君臣、夫婦、長幼、朋友などが「人の大倫」であった。すなわち最も重要な「なかま」であった。父子関係は「倫」である、一つの「なかま」である。ところで父と子とが別々にまずあってそれが後に関係を作るというわけではない。この関係の中で初めて父は父としての、子は子としての資格を得るのである。すなわち彼らは「一人のなかま」であることによって父となり子となる。しかし何ゆえに甲の「なかま」がそのなかまの一人一人を父及び子として規定するのに対し、乙の「なかま」はそれを友人として規定するのであろうか。それは「なかま」が一定の連関の仕方にほかならぬからである。従って「倫」は「なかま」を意味するとともにまた人間存在における一定の行為的連関の仕方をも意味する。そこからして倫は人間存在における「きまり」「かた」すなわち「秩序」を意味することになる。それが人間の道と考えられるものである。
和辻哲郎『倫理学(一)』岩波文庫、2007年。

-----

こんにちわ、宇治家参去です。
よーやく休みです!

で・す・が……、昼から学問の仕事を自宅にて粛々と手をつけているところでございます。

さて……。
毎週水曜日は、千葉の短大で、ひとりの受講生を対象に「倫理学」を講じておりますが、そのなかでつくづく考えるのが「関係〝性〟」の問題です。

たしかに70名を相手に哲学を講じ、100名を相手に倫理学を講じ、10名を相手に宗教を論ずることが仕事としてはありますが、どのレベルにおいても、関係性に入ったときに、存在が浮き上がってくるんだよなーって思うことがあるのですが、関係性に入る前には、それができあがったものとして見てしまうようなところも同時にあるんだよなーって相即的に感ずることがあります。

要するに、さまざまな関係-世界のなかで人間は生きているものですが、どうしてもそれが何かできあがった関係であるとか、相対するものごとと自分自身が切り放された……〝孤立的〟〝唯我独尊〟的に……ものとして対象と向かい合いがちになっていることが多いのではというところでしょうか。

しかしながら、和辻哲郎(1889-1960)が指摘するとおり、「父と子とが別々にまずあってそれが後に関係を作るというわけではない。この関係の中で初めて父は父としての、子は子としての資格を得る」というのが、正しく消息を物語っているのではないかと思います。

例えば、教師-生徒というような関係性は、確かに出来上がった「きまり」「かた」であり「秩序」であることは承知しております。ですからその関係性の「きまり」「かた」「秩序」に即して、「あるべき」って議論が出てくるわけですが、同時にその関係性というやつは出来上がっていると同時に、それぞれが「別々にまずあってそれが後に関係を作る」というものでもない……というわけですから、まさに生きている「きまり」「かた」「秩序」なんだよな……などと思うところです。

個別の存在者として対他関係から孤立した、独立自存する「生徒」も「教師」も存在しないわけであって、お互いがお互いを規定するというのが正しいところでしょう。そのへんを授業をしながらつくづくと痛感するわけで、そのことを週の初めから和辻の『倫理学』を再読しつつ考えさせられていたわけですが、授業のために千葉へ訪れると、もう「田植え」が始まっておりました。

「田植え」がされていた日は、昼から晴れ上がり、比較的暖かな陽気につつまれたものですが、東京はこのところ寒いですねえ。

こうした日は、昼から燗いのでいっぺえ……とするわけにはいきませんので、学問することによってチト頭を燗くしましょうか!

……ってことで、仕事へ戻ります。

休み……なのにねえ。

あ、そうそう出来上がった「きまり」「かた」「秩序」ということに注目するならば、乗り換え駅の西船橋で頂戴した蕎麦が興味深いものでした。

駅ビルのなかにある「おむすび処 ほんのり屋」で蕎麦とおむすびを頂戴しました。
駅蕎麦以上長寿庵未満の敷居のお店ですが、生蕎麦を手早くだしてくれたわけですが、薬味に葱のほか、水菜がのっているではありませんか。

「きまり」「かた」「秩序」に拘泥するならば、アリエナイ設定というところで驚いたわけですが、なかなかどーして!

さっぱりとして豊かな味わいに驚愕した次第です。

■ 「おむすび処 ほんのり屋」
JR・私鉄西船橋駅改札外2F
http://www.ekipara.com/html/Indication/ShopHtml/DI000NFB_003.html
http://www.jefb.co.jp/honnoriya/

……ってことで、仕事へ戻ります。

休み……なのにねえ。

01_img_0892 03_img_0889

倫理学〈1〉 (岩波文庫) Book 倫理学〈1〉 (岩波文庫)

著者:和辻 哲郎
販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

|

« 【覚え書】「読書 中勘助せんせ 鈴木範久著 感銘深い師弟の交流を詳細に」 | トップページ | 「酒が出た。 平蔵の顔に活気がみなぎってきはじめた。」 »

哲学・倫理学(現代)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 倫は「なかま」を意味する:

« 【覚え書】「読書 中勘助せんせ 鈴木範久著 感銘深い師弟の交流を詳細に」 | トップページ | 「酒が出た。 平蔵の顔に活気がみなぎってきはじめた。」 »