「酒が出た。 平蔵の顔に活気がみなぎってきはじめた。」
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「ま、こういうわけだ」
事情を粂八に語った平蔵が、
「どうだ、粂八。おれが殿さま栄五郎に見えぬか、な……?」
「えっ……」
「火間虫の虎次郎は、腕ッ節の強い男(の)を、口会人の平十へたのんだそうな」
「では、殿様が盗め人にお化けなさるのでございますか?」
「たまさかには、おれも外へ出てはたらき、お前達の苦労を味わっておきたいのだ」
「そんなことをおっしゃいましては……」
粂八も利平治も困惑しきっている。
「ま、よいわさ。ともかく、どうだ。殿さま栄五郎に化けて可笑しくないか?」
「そ、そりゃあもう、殿様がなさいますことでございますから……」
「大丈夫だと……?」
「はい」
「よし。それで決まった」
と、平蔵が利平治に、
「では、明日の朝、このことを鷹田の平十へつたえるがよい」
「かしこまりましてございます」
「粂八。佐嶋を、これへ」
「はい」
粂八が、与力・佐嶋忠介と共に居間へ引き返して来ると、平蔵は三人を相手に綿密な打ち合わせをおこなった。
すでに、夜に入っている。
酒が出た。
平蔵の顔に活気がみなぎってきはじめた。
--池波正太郎「殿さま栄五郎」、『鬼平犯科帳 14』文春文庫、2000年。
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こんばんわ、宇治家参去です。
仕事は休みでしたが、さきほどまで仕事をがんばりました。
もういいでしょう。
これからゆっくりと飲みながら、池波正太郎先生(1923-1990)の大好きな『鬼平犯科帳』でも読みながら、自分の時間を過ごしていこうと思います。
根を詰めたあとに、
「酒が出た。 平蔵の顔に活気がみなぎってきはじめた。」っていうのは大事です。
今日は気分的に「電氣ブラン」(合同酒精株式会社)です。
〝電氣ブラン〟ときけば〝電氣〟のようびびりびりと痺れるに、がつんとくる酒かっ!ってイメージしがちな人が多いようですが、そうではありません。
「神谷バー」の創業者・神谷伝兵衛(1856-1922)が考案したこの銘酒は、ブランデーベースのリキュールになりますので、とってもフルーティなんです。
宇治家参去的には、スモモのブランデー、そういう感覚です。
チェイサーには、生ビールというのが定番のようですが、生ビールがあいにくございませんので、そのまんまロックでいきましょうか。
もだーんな味わいのする銘酒で、池波先生のピカレスクに酔いしれようかと思います。
以上。
鬼平犯科帳〈14〉 (文春文庫) 著者:池波 正太郎 |
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