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是雪の浅き国の楽み也

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 暖国の雪一尺以下ならば山川村里立地(さんせんそんりたちどころ)に銀世界をなし、雪の飄々(へうへう)翩々(へんへん)たるを観て花に諭(たと)へ玉に比べ、勝望美景を愛し、酒食音律の楽(たのしみ)を添へ、画に写し詞(ことば)につらねて称翫(しょうくわん)するは和漢古今の通例なれども、是雪の浅き国の楽み也。
    --鈴木牧之編撰(京山人百樹刪定、岡田武松校訂)『北越雪譜』岩波文庫、1978年。

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今日は市井の職場が休みでしたので、一日中家にこもって学問の仕事をしておりましたが、あまり〝籠もり〟すぎるのがよくないのと、そして煙草が切れてしまったという喫緊の理由によって、夕方、ちょいと雨の降る外の世界へと旅立ってきましたが、強く降ったり弱く降ったりする雨のちょうど、後者の方でしたので、煙草を買い求めると共に、すこしゆっくりと散歩させて頂いた宇治家参去です。

弱い雨とはいえ、「服が濡れる」というのははなはだ心地よくないものですが、それでも梅雨どきにくらべるとその「濡れ」の「ひんやりさ」がかえって心地よく、まあこれは梅雨でも真冬でもないからそう思うわけなんだよなと一人納得した次第です。

目に映る青葉も雨に濡れて心地よく、鋭気を養っている様に、季節の移り変わりと、目に映る草花に自然の営みの美しさと詞を結びつける本朝の美意識に感謝しつつゆっくりと歩んだわけですが、結局衣類はびちょ濡れというわけですので、頃合いを見て引き返した次第です。

自宅へもどってから、「多雨」でも「薄雨」でもないからこそ「雨」が美しく、「豪雪」でも「薄雪」でもないからこそ「雪」が美しく「感じる」、そして「梅雨」でも「炎暑」でも「酷寒」でもないから「心地よい」という感覚を反芻したわけですが、たしかこれはどこかに書かれてあったなアと思い出し、江戸後期の随筆家・文人、鈴木牧之(1770-1842)の手による越後魚沼の雪国生活を活写した『北越雪譜』を本棚から探したわけですが、ありました!

うえに引用したのがそれですが、まあ、たしかに「是雪の浅き国の楽み也」というわけで、「是雨の浅き一日の楽み也」というところでしょうか。

さて……。
気分転換も済みましたので仕事の世界へと旅立ちます。

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