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桜の花が咲くと人々は酒をぶらさげたり団子をたべて花の下を歩いて絶景だの春ランマンだのと浮かれて陽気になりますが、これは嘘です。

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 桜の花が咲くと人々は酒をぶらさげたり団子をたべて花の下を歩いて絶景だの春ランマンだのと浮かれて陽気になりますが、これは嘘です。なぜ嘘かと申しますと、桜の花の下へ人がより集まって酔っ払ってゲロを吐いて喧嘩して、これは江戸時代からの話で、大昔は桜の花の下は怖しいと思っても、絶景だなどとは誰も思いませんでした。近頃は桜の花の下といえば人間がより集まって酒を飲んで喧嘩していますから陽気できぎやかだと思いますが、桜の花の下から人間を取り去ると怖ろしい景色になりますので、能にも、さる母親が愛児を人さらいにさらわれて子供を探して発狂して桜の花の満開の林の下へ来かかり見渡す花びらの陰に子供の幻を描いて狂い死して花びらに埋まってしまう(このところ小生の蛇足)という話もあり、桜の林の花の下に人の姿がなければ怖しいばかりです。
    --坂口安吾「桜の森の満開の下」、『桜の森の満開の下・白痴 他十二篇』岩波文庫、2009年。

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ぬはっ。

飲みながら、えっちらおっちら、仕事しながら、なにやかにやらやっておりますとこんな時間でございます。

さて……。
本日は台風一過を思わせるような灼熱地獄の東京でございました。

正直3回ほど溶けました。

なにしろ体を構成する成分の7割がアルコールでできておりますので、ちょっとした温度で発火するというやつです。

千葉の短大での授業を終えてから市井の仕事をすませ、さきほどから、まあゆったりと飲んでおります。

このひとときが大事ですね。

いろいろと書きたいことは山積なのですが、気力がふるわず、覚え書のようになってしまい大変恐縮ですが、ひとつだけ。

昨日の日記にも書きましたが宇治家参去は皆さんから「ひねくれ者」といわれますが、トヨザキ女史の書評の紹介の通り、まだまだ青二才です。

ですけども、どうやらひねくれ者であることは疑いのないようであります。

ですから……?

『堕落論』で有名な坂口安吾(1906-1955)の文章を読んでしまうと、ひとり悦にはいってしまいます。

「桜の花が咲くと人々は酒をぶらさげたり団子をたべて花の下を歩いて絶景だの春ランマンだのと浮かれて陽気になりますが、これは嘘です。」

はい、確かにそうなんです。

なにが、そうなのでしょうか?

「なぜ嘘かと申しますと、桜の花の下へ人がより集まって酔っ払ってゲロを吐いて喧嘩して」

……っていう次第です。

物事の輝きをひとつだけにしぼってしまうと、これは結構人生において大変に損をしてしまいます。

ようするにどれだけの輝きをひとつの事案から引き出すことができるのか。

そこに、生き方を潤すちょいとしたヒント詰まっているわけです。

ですから、「桜の花の下」は大変楽しい場所なのでしょうが、それだけではない……。

そういうところに目がいってしまいますし、そう心がける訓練を重ねることで、物事が持っている、様々な輝きを楽しむことができるんです。

だから坂口安吾の文章を読むと、

ほぉー。

うなります。

たしかちくま文庫で全集が出ているはずですが、学生時代にはまって全巻揃えて読了しましたが、結婚してから借家のスペース上、実家へすべて送り返しました。

先年、岩波から〝めずらしく〟選集が発刊されたようですので、今週買い求め、読みながら、そして酒を飲みながら、楽しんでおります。

多様な解釈の海で泳ぎなさい!

これ、大事ですね。

……いや~、例の如く今日も鯨飲しておりますが、坂口安吾の文章で愉快な深夜です。

公定解釈から逸脱することほど楽しいことはありません。

おっと、自己防御のようですが、これはケ・セラ・セラの絶対的相対主義……形容詞が違いに矛盾しておりますけど……の讃歌ではありませんけどね。

……って、意味不明のtweetのようでスイマセン。

ま、いずれにしましても、、、

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何千年何万年を通じて蓄積した理解には怖るべき深さがある。かかることが無数の事象について言えるとすれば、我々が土地として差し示しているものは、実に無限に深い理解理解の海である。
    --和辻哲郎『倫理学(ニ)』岩波文庫、2007年。

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……ってえぇやつですワ。

理解の海での水練とは睡蓮であり、そのまどろみが心地よいものです。

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