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ある時は海の中が銭湯のように黒い頭でごちゃごちゃしていることもあった。

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 宿は鎌倉でも辺鄙な方角にあった。玉突きだのアイスクリームだのというハイカラなものには長い畷(なわて)を一つ越さなければ手が届かなかった。車で行っても二十銭は取られた。けれども個人の別荘はそこここにいくつでも建てられていた。それに海へはごく近いので海水浴をやるにはしごく便利な地位を占めていた。
 私は毎日海へはいりに出かけた。古いくすぶり返った藁葺の間を通り抜けて磯へおりると、この辺にこれほどの都会人種が住んでいるかと思うほど、避暑に来た男や女で砂の上が動いていた。ある時は海の中が銭湯のように黒い頭でごちゃごちゃしていることもあった。そのなかに知った人を一人ももたない私は、こういうにぎやかな景色の中につつまれて、砂の上に寝そべってみたり、膝頭を波に打たして、そこいらをはね回るのは愉快であった。
    --夏目漱石『こころ』岩波文庫、1989年。

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夏と言えば海!

……というわけですが、夏と言えば漱石・夏目金之助(1867-1916)の『こころ』の冒頭部分が、まっさきにあたまに浮かんでくる宇治家参去です。

ちょうど先生と私が鎌倉の海水浴場で出会うというくだりです。

平成の現在ならともかく、明治大正の治世においても「ある時は海の中が銭湯のように黒い頭でごちゃごちゃしていることもあった」のかと思うと、海水浴に出かけるとは、たしかに生ぬるい銭湯へ大枚はたいて出かけるようなものかもしれません。

幸い、息子殿は、先月末から細君の実家……といっても宇治家参去と同郷ですけれども……に帰省しておりますので、「銭湯のように黒い頭でごちゃごちゃしている」海へ同道することはないのですが、そういえば、自分自身もだいぶんに海には=海水浴に、行っていないなあと思う八月です。

伊東に別荘を持っている知人と、夏になれば出かけたものですが、結婚してから疎遠になったなあと感慨するわけですが、まあ、海に行かなくても、漱石の『こころ』をひもとけばその「臭い」は脳内インスピレーションによって獲得すればすみますので、ひとつここは再読!ということで、飲みながらゆっくりと『こころ』を読んでいる深夜です。

さて……。
なかなか現在の仕事環境(非常勤講師+GMS.Mgr)では、フツー人のような休みが取れませんので、息子殿のためのフツーな環境が準備できず、息子殿および関係各位に対しては非常に恐縮なのですが、ちかいうちに、この環境を脱して、フツー人の「ニッポンの夏」を演出できるような親になる必要があるんだよな~と思いつつ、そうなってしまうと、それはそれで「大変なんだよなア」というジレンマです。

まあ。
いずれにしても八月は始まったばかり。

おおいに夏を楽しみましょうゼ。

……ということで、、「大吟醸 夢おぼろ」(橋本酒造株式会社、石川県)。
学生さまから頂戴したおちゃけですが、、、

いやー、これはばやい。

感覚が「夢おぼろ」になってしまう大吟醸。

味わいがフルーティー。

一万円未満のワインでは敵いません!

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