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【覚え書】「異論反論 自分のためにも提出しよう 寄稿 雨宮処凛」、『毎日新聞』2010年10月6日(水)付。

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異論反論 寄稿 雨宮処凛
雨宮さん! 国勢調査が行われています
自分のためにも提出しよう

 明日は国勢調査の調査票提出期限だ。みなさんのもとにも、「平成22年 国勢調査」と書かれた封筒が届いていると思う。
 1920年に始まったという国勢調査は5年に1度行われ、今回が19回目。目的は、統計を得ることによって、各種行政施策の立案・実施の資料とすること、らしい。
 「個人情報」への意識が高まる時代、根掘り葉堀りほくりだされるようなこの国勢調査、私自身も少し前まで「うぜー」と思っていた。
 しかし、昨年末、厚生労働省のナショナルミニマム研究会の委員に就任し、その意識が根柢から変わった。さまざまな政策が論じられる過程で、この「国勢調査」が非常に重要なデータとして扱われていたからだ。考えてみればこれほど大規模な調査なんてそうそうないわけで、あなたが正直に書くだけで政策に大きな影響を与える可能性もないわけではない。
 と、こんなことを書くと統計局の回し者のようだが、5年前の国勢調査の結果を見るだけでも非常に興味深い。
 例えば、日本では何人世帯が一番多いと思うだろうか?
 多くの人は「4人くらい?」という感覚かもしれない・しかし、もっとも多いのは1人世帯で29・5%。4人世帯がもっとも多かったのは85年までで、以来、1世帯あたりの人員は減り続け、85年に3.14人だったのが05年では2・55人まで減っている。
 ちなみに「夫婦と子どもからなる世帯」(人数は問わず)は29・9%なのだが、今回の調査ではこの数と1人世帯の数が逆転するのではないかといわれている。
 だから何?という意見もあるかもしれないが、こういった事実がわかるだけでもすごいことだ。
 なぜなら、今まで日本という国は「正社員の夫と専業主婦と子どもが2人いる世帯」みたいなものをモデルとしてさまざまな制度を設計してきたからである。結果、それ以外の生き方をすることは即「リスク」となり、さまざまなセーフティーネットから漏れてしまう人を作り出してきた。

調査結果が政策に反映されるかも
 今年の夏は「消えた高齢者」問題が世間をにぎわせたが、現在30代の私は着実に「子なし人生」の方向に突き進んでおり、将来的には単身世帯で「消えても気づかれない高齢者」になるかもしれないという不安を抱えている。
 しかし、「単身世帯」がマジョリティーになりつつあることが広く知られれば、「1人でも安心して生きられる」方向に政策のかじが切られるかもしれないし、他にも調査結果から「非正社員でも安心して子育てできるように」とか「子育て世帯にもっと充実した支援を」という形の具体的な要望が見えてくるかもしれない。
 ということで、自分のために提出しようと思っている。

あまみや・かりん 作家。1975年生まれ。貧困問題などに取り組む。共著「世はいかにして昭和から平成になりしか」(白水社)が出た。16日に「午前11時から東京・明治公園で『反貧困世直し大集会2010』(反貧困ネットワーク主催)に出演します」。
    --「異論反論 自分のためにも提出しよう 寄稿 雨宮処凛」、『毎日新聞』2010年10月6日(水)付。

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今日が国勢調査の提出期限のようですね。
さて読んでいて数点、まず雨宮処凛女史(1975-)相変わらずアップダウンが激しいというか、いろんな意味でブッ飛んでいるなアと思ったということ。

それと、いろいろあるんだけれども、「『正社員の夫と専業主婦と子どもが2人いる世帯』みたいなものをモデルとしてさまざまな制度を設計」してきたのは日本だけでなく、あらゆる日本の組織がそれを範として共同体をデザインしてきたということ。

ということで、いろいろあるけど二点だけ。

寝ますワ。

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