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「いくら哲学書を読みても、われわれの信じた主義を真面目に実行するところの精神がありませぬあいだは」……

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 まことに私の言葉が錯綜しておって、かつ時間も少なくございますから、私の考えをことごとく述べることはできない。しかしながら私は今日これで御免をこうむって山を降ろうと思います。それで来年またふたたびどこかでお目にかかるときまでには少なくとも幾何かの遺物を貯えておきたい。この一年の後にわれわれがふたたび会しますときには、われわれが何か遺しておって、今年は後世のためにこれだけの金を溜めたというのも結構、今年は後世のためにこれだけの事業をなしたというのも結構、また私の思想を雑誌の一論文に書いて遺したというのも結構、しかしそれよりもいっそう良いのは後世のために私は弱いものを助けてやった、後世のために私はこれだけの艱難に打ち勝ってみた、後世のために私はこれだけの品性を修練してみた、後世のために私はこれだけの義侠心を実行してみた、後世のために私はこれだけの情実に勝ってみた、という話を持ってふたたびここに集まりたいと考えます。この心掛けをもってわれわれが毎年毎日すすみましたならば、われわれの生涯はけっして五十年や六十年の生涯にはあらずして、実に水の辺りに植えたる樹のようなもので、だんだんと芽を萌き枝を生じてゆくものであると思います。けっして竹に木を接ぎ、木に竹を接ぐような少しも成長しない価値のない生涯ではないと思います。こういう生涯を送らんことは実に私の最大希望でございまして、私の心を毎日慰め、かついろいろのことをなすに当って私を励ますことであります。それで私のなお一つの題の「真面目ならざる宗教家」というのは時間がありませぬからここに述べませぬ。述べませぬけれども、しかしながら私の精神のあるところには皆様に十分お話しいたしたいと思います。己の信ずることを実行するものが真面目な信者です。ただただ壮言大語することは誰にでもできます。いくら神学を研究しても、いくら哲学書を読みても、われわれの信じた主義を真面目に実行するところの精神がありませぬあいだは、神はわれわれによって異邦人であります。それゆえにわれわれは神がわれわれに知らしたことをそのまま実行しなければならない。もしわれわれが正義はついに勝つものにして不義はついに負けるものであるということを世間に発表するものであるならば、そのとおりにわれわれは実行しなければならない。これを称して真面目なる信徒と申すのです。われわれに後世に遺すものは何もなくとも、われわれに後世の人にこれぞというて覚えられるべきものはなにもなくとも、アノ人はこの世の中に活きているあいだは真面目なる生涯を送った人であるといわれるだけのことを後世の人に遺したいと思います。(拍手喝采)。
    --内村鑑三「後世への最大遺物」、『後世への最大遺物・デンマルク国の話』岩波文庫、1976年、68-69頁。

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まあ、大晦日ですので、少し早いですが、読者の皆様、

「愛をありがとう」

……と最初に挨拶させて頂きます。何しろ大晦日も元旦も市井の職場は休みではありませんので……。

くどいのですが、

「愛をありがとう」

学問の仕事を辞めろ……というところから始まって新年を迎え、年度末に非常勤のオシゴトをひとつ授かり、なんとか今日まで歩んでくることができました。

現在の処、常勤の目処は未だ立たずというところですが、懸案状況であった博士論文も目処がつき……といってもまだまだ課題は山積ですが……、新しい年に最後の挑戦をして参ろうかとおもうところです。

まあ、いずれにしてもその消息は神のみぞ知るというところではありますが、神が知ろうが知らなかろうが、「真面目な」人間として「そのとおりにわれわれは実行しなければならない」というところは、信仰の異同にかかわらず共通しているところでしょう。

ということで、来年はさらなる飛躍を目指して、、、

ネオトミストの立場から世の中に「延髄蹴り」w

リバタリアンの立場から世の中に「卍固め」w

そして、アナーキストの立場から世の中に「辻説法」w

内村鑑三(1861-1930)の「ただただ壮言大語することは誰にでもできます。いくら神学を研究しても、いくら哲学書を読みても、われわれの信じた主義を真面目に実行するところの精神がありませぬあいだは、神はわれわれによって異邦人であります。それゆえにわれわれは神がわれわれに知らしたことをそのまま実行しなければならない」を反芻しながら、新しい戦いへと駒を進めていこうかと思います。

諸法無我とは「捕らわれない(囚われない)」「離れよ」という立場。
原罪の思想とはある意味では、「現状否認」の所作。

これからまた新しいレコンキスタへと挑戦です。

読者諸兄、新しい年も宜しくお願いします。

……ということで、2010年最後の晩酌を少し楽しませていただきましょうかw

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