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「急速な成長」=「すなわち実力を試されず」前進……というやつ

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 日本の封建国家から近代国家への変貌の速度を説明するには、左の二つの過程が偶然に同時的に起こったことをまず念頭におかなければならない。すなわち、(一)封建制度の断末魔の苦悶と、(二)日本に加えられた西洋諸国の圧力がこれである。内部的危機と外部的危機の結合が近代社会への変革を大いにはやめたのであった。つぎの発展段階の特徴をなす急速な成長、すなわち実力を試されず、まだ農業経済に依存する国から一等国への前進は、たまたま明治変革の社会的・政治的精確に由来するものであった。明治政府の政策は、戦略的産業を創設すること、国防兵力を十分に備えること、かぎられた比較的微力な商業・金融階級に潤沢な補助金を与えて工業部門への進出を奨励することであった。この政策は反面においては、農民階級に課せられた過重な租税負担、国防関係企業にくらべて重要度の低い企業の切詰め、ならびに、およそ国内危機を促進し建設事業を妨害阻止するような不安動揺ないしは民主主義的抗議の徴候に対する一般的不寛容をその特徴とした。
    --E.H.ノーマン(大窪愿二訳)『日本における近代国家の成立』岩波文庫、1993年、317頁。

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「急速な成長」=「すなわち実力を試されず」前進……というやつはカナダの外交官。歴史家で日本史研究家ノーマン(Edgerton Herbert Norman,1909-1957)が明治日本を分析して導きだした見取り図ですが、たぶん、この体質は今現在も全く変わっていないんでしょうねえ。

正面兵器としての国防予算への傾重という部分は事情が違ってくるかも知れませんが、見せかけの繁栄と成長の神話の陰で密やかに進行してしてきた矛盾がポロポロとあらわになってきたような感もあります。

「急速な成長」=「すなわち実力を試されず」前進したやり方は1945年に破産しましたが、同じやり方をまだ続けていたとは……orz

ちなみに4月4日は、ノーマンの命日、合掌。

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