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【覚え書】「異論反論 反原発デモが盛り上がっています 人の犠牲の上に立つ社会とは 寄稿 雨宮処凛」、『毎日新聞』2011年5月18日付(水)。

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「異論反論 反原発デモが盛り上がっています 人の犠牲の上に立つ社会とは」
 寄稿 雨宮処凛

 反原発・脱原原発でもが全国で相次いでいる。東京都内では週末ごとに大規模デモが起こり、ほぼ毎日、全国どこかで「反原発」の声が上がっている。
 私自身も1万5000人が集まった4月10日の東京・高円寺「原発やめろデモ」を皮切りに、ツイッターで呼びかけられたデモなど、今まで4回参加した。共通しているのは、参加者の多くが若者ということだ。子連れの家族も目立ち、ほとんどが「デモは初めて」と口にする。「原発には関心がなかった」という人も多く、反省の言葉を口にする人も少なくない。しかし、今回の事故を受け、多くの人が「原発はいらない」と意思表示を始めたのだ。

自民党が推進した原発を支える構造
 私自身、原発についての専門的な知識もなければ代替エネルギーについて有効な案を持っているわけでもない。しかし、この国のすべての人が今、現在進行形で放射能汚染のただ中にいることは紛れもない事実だ。水や空気が汚染され、その影響はいつまで続くか誰にもわからない。そんな原発だが、現在30代の私が生まれた時から存在し、その是非を問われたことは一度もない。自民党が推進してきた原発とそれを支える構造が先にあり、その中で選択する余地もなく、今回の事故で初めてこれほど「当事者」でえあることを突きつけられた。「今、何もしないことで将来、下の世代にロクでもないものを残したと恨まれたくない」。デモ参加者達から何度も聞いた。私もまったく同感だ。
 そして今回の事故で、私たちは「原発」が持つ大なる矛盾を目の当たりにした。「寄せ場」である大阪・釜ケ崎で「ダンプカーの運転手」という求人に応募した60代の男性が福島第1原発で働かされ、職のない若者が「将来白血病になっても補償はない」という内容の誓約書にサインして働いている。一方、原発の交付金で箱モノを建て、その維持費のために更に原発を誘致するような「原発依存から抜けられない」状況が生み出されてもいる。そしてひとたび事故が起これば、大切に育てた生き物や農作物を泣く泣く置いていつ戻れるかわからない避難生活が待っている。
 高円寺のデモで、若い男性が掲げていたプラカードには「私は福島から来た“原発難民”です」「俺の双葉町を返せ!」と書かれていた。
 何かあったら大量の「原発難民」が生み出されることが前提となっている社会。私はこの国がこれほど脆弱なシステムの上に成り立っていることに今まであまりにも無自覚だった。そして怖いのは、放射能の影響は私たちが死に絶えても続くということだ。
 今回、白日のもとにさらされたように、「原発」は多大な犠牲を必要としている。誰かの犠牲の上に成り立つ生活を、私たちは転換させる時期なのだと思う。

あまみや・かりん 作家。1975年生まれ。反貧困ネットワーク副代表なども務める。「震災から3カ月の6月11日に反原発デモが全国であります。『原発はいらない』の声を上げたい人はぜひ。詳細は東京の主催団体、素人の乱の『原発やめろデモ』サイトなどで」
    --「異論反論 反原発デモが盛り上がっています 人の犠牲の上に立つ社会とは 寄稿 雨宮処凛」、『毎日新聞』2011年5月18日付(水)。

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5月18日付けの『毎日新聞』にて雨宮処凛女史(1975-)の寄稿があったので、資料として残しておきます。デモの有用性には懐疑的ですが、これまで無自覚だった人が状況を認識するようになったという時代は、変わりはじめているのだろうと思います。

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