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すべての人と同じでない者、すべての人と同じ考え方をしない者はしめ出される危険

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……今日の特徴は、凡俗な人間が、おのれが凡俗であることを知りながら、凡俗であることの権利を敢然と主張し、いたるところでそれを貫徹しようとするところにあるのである。つまり北米合衆国でいわれているように、他人と違うということ即ふしだらなことであるという風潮である。大衆はいまや、いっさいの非凡なるもの、傑出せるもの、個性的なるもの、特殊な才能をもった選ばれたものを席巻しつつある。すべての人と同じでない者、すべての人と同じ考え方をしない者はしめ出される危険にさらされているのである。ところが、この「すべての人」が真に「すべての人」でないことは明らかである。かつては「すべての人」といった場合、大衆とその大衆から分離した少数者からなる複合的統一体を指すのが普通であった。しかし今日では、すべての人とは、ただ大衆を意味するにすぎないのである。
 以上が現代の恐るべき事実であり、そのいつわりのない残酷な実相である。
    --オルテガ・イ・ガゼット(神吉敬三訳)『大衆の反逆』ちくま学芸文庫、1995年、21-22頁。

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誤解を招くと厭なので先に断ると、オルテガ(José Ortega y Gasset,1883-1955)は、階層的社会を称賛し、円周的な市民社会を批判しようとしたわけではありません。

構想された社会としては、前者よりも後者のほうが機会の問題を含めて圧倒的な有利で効率的に稼働することは疑いようもない事実です。

しかし、それをだれがどのようなモチベーションでささえていくのか……。

そのへんの議論がすっとばされて「権利に眠る」(丸山眞男)ようになってしまうと問題も多いでしょう。

「すべての人」なんて存在しないけれども、「すべての人」に収斂させていく手合いの多いことには辟易としますよ。

ゴルァ。

あしたはオルテガの誕生日。

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