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古来より専制圧制の下ニ生活して干渉せらるゝニなれ、干渉なけれバものを忘れたる如く、干渉せられるハ何やらこゝちよきまでに慣れて、遺伝の天性の如くなり居れる

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仏国の人民が法律を重んずるハ法律を軽んずる如くなれども、その理決して軽ずるニあらずして終ニ完全なる法文を造らしめたり。
我日本の国民が古来より専制圧制の下ニ生活して干渉せらるゝニなれ、干渉なけれバものを忘れたる如く、干渉せられるハ何やらこゝちよきまでに慣れて、遺伝の天性の如くなり居れるものとハ、もとより異るなり。
 二十三年以来立憲政治の実行せらるゝに及んで依然旧の思想を改むる能ハずして、よきもあしきも御上の仰せ御尤、知事様郡長ハ神様なり、有り難し。何様御無理ハ御尤とハ存じ奉り候。……
    --田中正造「瀬山三次郎ほか宛書簡(明治33年6月19日)」、由井正臣・小松裕編『田中正造文集(一)鉱毒と政治』岩波文庫、2004年、235-236頁。

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田中正造翁(1841-1913)が当時のブルジョワ共和主義の自決型立憲政治と対比しつつ……それが実際どうだったかのというコンテクストを無視した現在の眼はひとまず横に措きます……、御一新、文明開化を経て憲政を歩み始めて二十数年たった明治後半に本朝の現状を振り返ってみて吐露した書簡の一節。

ちょうど今から111年前の話なのですが、正造翁の指摘する「古来より専制圧制の下ニ生活して干渉せらるゝニなれ、干渉なけれバものを忘れたる如く、干渉せられるハ何やらこゝちよきまでに慣れて、遺伝の天性の如くなり居れる」ていう精神風土は、殆どかわっておりませんね。

お上は有り難いというわけですが、まさにお上は、「仰せ御尤」、そして「神様なり」ですね。

この“お任せ態度”……いつまで続けることなのやら。

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