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覚え書:「台湾:先住民の蜂起描いた映画『セデック・バレ』監督 歴史を語り恨み解きたい」、『毎日新聞』2011年10月20日(木)付。

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台湾:先住民の蜂起描いた映画「セデック・バレ」監督 歴史を語り恨み解きたい

 ◇歴史を語り恨み解きたい
 日本統治時代(1895~1945年)の台湾で先住民セデック族約300人が蜂起した「霧社(むしゃ)事件」(1930年10月)。日本人の警官や子供ら130人余りが犠牲となり、セデック側も死者・行方不明者が計約800人に上った。事件を映画化した「セデック・バレ」が9月から台湾で上映されている。魏徳聖監督(42)は08年にも日本統治時代と現代にまたがる日本人と台湾人の恋愛を初作品「海角七号」で描き、一躍有名になった。日本統治時代に関する映画を作る意味を聞いた。【台北・大谷麻由美】

 ◇日本統治に心情複雑
 --日本統治時代に関連する映画が続いている。
 魏徳聖監督 素晴らしい物語を映画に撮りたいだけで、日本に関連する映画を作ろうとしているわけではない。
 台湾の歴史は50年、100年、数百年前を振り返っても必ず日本にぶち当たる。いつの時代も日本は台湾に影響を与えてきた。

 --台湾人は日本にどんな感情を抱いているか。
 魏監督 日本統治時代の歴史によって、台湾ではいまだに日本の影響が残る。統治時代は良い点も悪い点もあった。抱くのは感謝なのか憎しみなのか、心情は複雑なままだ。
 私の祖父母は日本を好きではなかった。国民党政権が中国共産党との内戦に敗れて1949年に中国から台湾に来た時のことを「日本の管理の方が平穏だった。二等国民で日本人より地位はいつも低かったけれど、泥棒もいなかった」と振り返った。国民党政権は最初のうち、台湾人を日本人、つまり外国人として扱った。われわれ台湾人は遺棄された人々だった。
 台湾人は今も、そのへんの歴史についてうまくバランスを取れないでいる。

 ◇「時代が作った過ち」
 --映画「セデック・バレ」を製作した目的は。
 魏監督 歴史を語ることで恨みを解きたいと考えた。歴史とは本来、非常に難解で、遺憾なことも多い。映画を通じて歴史を理解し、その時代の見方に立って、当時の人々の環境や立場を考えてほしいと思う。理解して初めて和解がある。霧社事件では、先住民族と日本人が文化と信仰の違いから誤解が生まれ、衝突した。衝突の原点に戻らなければ原因は分からない。「これは時代が作り出した過ちだ」と言えるようにしたかった。物事は善悪だけでは判断できない。日本側も先住民族側も完璧であるはずがなく、複雑な要素が絡み合う。「日本を好きか嫌いか」という簡単な質問では答えられない複雑な気持ちを分かってほしい。

 --台湾には、終戦前から台湾で生まれ育った家系の本省人、国民党政権と共に台湾に移り住んだ中国大陸生まれとその子孫の外省人がいる。本省人にも福建省系、客家、14の先住民族がいる。歴史が原因の「族群」(エスニックグループ)の対立は今も激しく、政治的対立となっている。
 魏監督 「セデック・バレ」は、多数の民族からなる台湾の歴史を自分たちで理解し、自らの立場を省みることで台湾人の気持ちの対立を解くことも目指している。映画を通した心理療法と言える。台湾内で和解しなければ、世界の他者とも和解はできない。今は多くの民族の豊富な栄養を吸収して、自分を成長させている時だ。より寛容になることが台湾人には必要だ。台湾の中での内輪もめに時間を費やすのは無駄だ。次世代が歴史の矛盾を引きずったまま生きるべきではない。


魏徳聖監督 1969年8月、台湾南部・台南県永康郷(現・台南市永康区)生まれ。遠東工商専科学校(現・遠東科技大学)機械科卒。2作目の「セデック・バレ」(セデック語で「真の人」)は台湾史上最高の7億台湾ドル(約18億円)を費やした。今年のベネチア国際映画祭に出品されたほか、来年の米アカデミー外国語映画賞への出品が決まった。
    --「台湾:先住民の蜂起描いた映画『セデック・バレ』監督 歴史を語り恨み解きたい」、『毎日新聞』2011年10月20日(木)付。

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