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覚え書「金言:「タイ洪水」の伝え方=西川恵」、『毎日新聞』2011年10月21日(金)付 + タイ洪水被害者救済のための寄付金受付について(タイ大使館)

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金言:「タイ洪水」の伝え方=西川恵

 タイの洪水についての日本の新聞、テレビの報道に違和感がある。7カ月前に3・11を体験したばかりの日本であればこそ、タイの被害の状況への関心と配慮、我々の政府はタイに何をしているか、それは十分なのかなど、もっと伝えるべき事柄があるのではないだろうか。

 現地の状況をきちんと伝えているメディアもあることを認めた上で、「そんな自己中心的な報道でいいのですか」「日本はエコノミック・アニマルに逆戻りしたのですか」と問いたくなるような、日本企業の被害や、日本経済への影響だけに焦点をあてた報道が目につく。タイに深刻な被害が出ているのにである。

 タイ政府によると、18日時点で洪水の死者は315人、行方不明3人。被災者は250万人に上る。被災した県は27県に及び、北から南に流れる河川は水量を増加させながら被害を南部へ広げている。タイ湾では今月末、大潮を迎えるため、まだ要警戒だ。

 この間、日本政府は何をしたのだろう。天皇陛下がプミポン国王にお見舞いのメッセージを出され、国際協力機構(JICA)を通じ計5500万円相当の緊急援助物資(ボート用の船外機、仮設トイレ、テント、浄水器など)を供与。また東南アジア諸国連合(ASEAN)事務総長からの要請で19日、ASEANの洪水アセスメントチームに専門家を派遣した。

 経済産業省は日本経済への影響を、JICAは洪水被害状況を調査するため、調査団を現地に出している。

 日本企業への被害や、それが及ぼす日本経済の打撃、また日本人に犠牲者はいるのかは、日本のメディアとして欠かせない視点だろう。しかし一方で、大きな構図の中でニュースを相対化、普遍化する努力をしないと独善に陥る。もし東日本大震災の時、「自国企業と経済への影響」といった視点からのみの報道であふれた国があったとしたら、その国にいる日本人たちはどう受け取っただろう。

 大震災で世界からあれほどの温かい支援と援助が寄せられたことを思えば、「タイに支援の手を」の声が起こってもいいし、タイの困難な実情をより細かに伝えることでメディアは日本の人々の善意を掘り起こすこともできる。

 これはタイだけのことではなく、いま東アフリカでは深刻な干ばつによる飢饉(ききん)が広がっている。グローバル化した世界にあって、アフリカもさまざまな面で日本とつながっている。日本に絡む事柄を伝えることも必要だが、日本のメディアは日本と世界を結ぶ大切な役割ももっているはずだ。(専門編集委員)
    --「金言:「タイ洪水」の伝え方=西川恵」、『毎日新聞』2011年10月21日(金)付。

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在京タイ大使館 タイ洪水被害者救済のための寄付金受付について

http://www.thaiembassy.jp/rte1/index.php?option=com_content&view=article&id=641:2011-10-14-07-48-35&catid=68:press-release&Itemid=286


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