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人間の人間性そのものが問いただされているのだ

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 ここでわれわれは周知の真実にふたたび逢着したことになる。われわれはそれらの真実を一個の根本的な原理に結びつけようと努めてきた。おそらくわれわれは、人種差別はキリスト教的で自由主義的な文化の何らかの特殊な側面と敵対しているだけではないという点を示すことには成功したのではなかろうか。問いただされているのは、民主主義、議会制、独裁体制、宗教政治といった個々の教条ではない。人間の人間性そのものが問いただされているのだ。
    --レヴィナス(合田正人訳)「ヒトラー主義哲学に関する若干の考察」、『レヴィナス・コレクション』ちくま学芸文庫、1999年、107頁。

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1934年、レヴィナス(Emmanuel Lévinas,1906-1995)が上程した小論が「ヒトラー主義哲学に関する若干の考察」。
独仏全面戦争のはるか以前になりますが、その猛威はもれ聞こえてくる中で、「ヒトラーの哲学は稚拙である。けれども、そこでは多大な始原の潜在力が消費されて、その圧力のもとで、見すぼらしい空説虚言の殻は炸裂してしまう」(92頁)と書きはじめ、その問題を世に問うた。

ヒトラー主義の問題とはつまるところ何だったのか。

自由主義と全体主義の戦い?
領域超越教会と国家的教会主義の戦い?
市民と無産者の戦い?
普遍主義と特殊主義の戦い?

さまざまな価値観をそれと対立させてその問題を描写することは簡単だし、ある程度はそれで概要がくっきり浮かび上がります。

しかし、枝葉による判断で対象を部分的に描写するのではなく、本質的には何が問題なのか--。

レヴィナスは最後に「人間の人間性そのものが問いただされているのだ」と指摘する。

そう、我々自身の問題として向き合う必要のある、言い換えれば人間に遍く内在する人間性との戦いである。

この急所を失念してしまうから、形を変えた問題が何度も何度も起こっては、それに頭を悩ませているのが我々なのかも知れません。

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