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覚え書:「ニセ科学って何だ? 久保田裕さんが選ぶ本 『もうダマされないための「科学」講義』」、『朝日新聞』2011年11月06日(日)付。

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ニセ科学って何だ? 久保田裕さんが選ぶ本 『もうダマされないための「科学」講義』
[文]久保田裕(科学医療部)  [掲載]2011年11月06日

■思い込みが行動を左右する
 一見、科学的な主張に見えるものの、実は科学でない。そんな主張を、ニセ科学とかエセ科学、疑似科学などと呼ぶ。
 血液型でその人の性格が分かるとする血液型性格判断や、マイナスイオンを浴びると健康になるとか、水に「ありがとう」と話しかけるときれいな結晶ができる、などといった類いの主張のことだ。先月亡くなったスティーブ・ジョブズ氏ががん治療に取り入れ、のちに悔やんだと伝えられる食事療法などの代替医療にもニセ科学は多い。
 人の行動や発言は、理性や客観性、科学的事実といったことより先に、自分が元から抱いている感情や思い込みといったものに左右されやすい。最近、この傾向が大きく出たのが、東京電力の福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性物質に対する人々の態度だろう。
 「ニッポン、頑張ろう」というかけ声のその陰で、「放射能を散らすので、福島製の花火は打ち上げるな」とか、「福島から来る放射能に汚染されているトラックは走らせるな」とか、「地元の送り火で岩手県産の松は焼くな」といった過剰反応がいろいろ出た。

■不安が招く差別
 目に見えない放射線が不安なことは分かる。しかし自分が不安だからといって、それで他人を差別したり、排除したりしてよいわけがない。ましてや被災した人々をさらに苦しめるようなまねをしていいわけはない。
 今回の放射線騒動では、放射線を「正しく怖がろう」とも言われた。「正しく怖がる」のは実は、かなり難しい。せめて他人に迷惑を掛けるような「間違った怖がり方」だけは、差し控えたいものだ。
 『もうダマされないための「科学」講義』は、震災関連で生まれた色々なニセ科学へ警鐘を鳴らす。たとえば発酵させた米のとぎ汁が放射性物質の「毒だし」をするとして、目にさした人の例が紹介されている。
 「目が真っ赤になって目ヤニがたくさん出た」というのだが、それはとぎ汁が効いたのではなく、単に目に雑菌が入っただけでは? すぐに眼科に行った方がいいだろう。一分子も残らないほど希釈した水でも、薬としてよく効くと主張するホメオパシーも「薬効がない」とバッサリ。今回の原発事故で、ホメオパシーのレメディー(砂糖玉)をとったら「被曝(ひばく)も大丈夫!!」だと宣伝しているのだという。

■予言やUFOも
 人々が自分の思い込みに、いかにダマされやすいかは、『人間この信じやすきもの』を読むと納得できる。賭け事やスポーツで「波に乗った」と思うことがある。なぜか続けて物事がうまく行く場合だ。でも、本当にそんな現象があるのか? バスケットボールのショットのデータを基に、著者が統計的なチェックを試みている。
 結果は、直前のショットの成功が次の成功を呼ぶことなどなく、ボールはランダムに入ったり、入らなかったりしているだけだった。だが、この研究結果を米国のバスケットの有名監督に伝えたら、返ってきたのは「誰だい、この男? こんなことは関係無いよ」の一言。裏付けがある客観的なデータより、長年の自分の思い込みのほうが信じられるというわけだ。
 より多くのニセ科学を知るには『ハインズ博士 再び「超科学」をきる』がお薦め。心霊術、予言、UFO、代替医療といった古典的なニセ科学のオンパレードを、バッタバッタと切ってくれる。
 ◇くぼた・ひろし 58年生まれ。共訳書に『きわどい科学』など。
    --「ニセ科学って何だ? 久保田裕さんが選ぶ本 『もうダマされないための「科学」講義』」、『朝日新聞』2011年11月06日(日)付。

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