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「必要が人間に都市を造らせ、その連合体である社会を造らせ」た筈なんだけど( ;´Д`)

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 必要が人間に都市を造らせ、その連合体である社会を造らせました。こうして、団結の力によってお互いに野獣や群盗の被害を防ぐことができるようにしたのです。人間界では、一人の人間だけで事が足りるというものは何もありません。たとえば、人類は、もし夫婦間の相愛関係というものをうち立て普及させていなかったなら、まさにその創生の初期に滅亡していたことでしょう。産婆の親切な手と乳母のやさしい慈しみで助けられなかったら、赤ん坊は生まれることがもできないでしょうし、生まれ落ちるとすぐ死んでしまうでしょうし、また、たとえ娑婆の光に浴したにしても、たちまち命を失うことでしょう。自然は、生まれないうちからもう子供たちを愛させるように、両親の心の中に激しい愛情の火花を播いておいたようです。また一方では、子供の心の中に両親にたいする愛慕の情を投げ入れました。年老いた両親の体力が弱った時の苦しみを、今度は子供たちが世話して和らげるようにとの計らいですね。このようにして親と子のすべてに等しくいとも賞(め)すべき間柄が成立しますが、このことをギリシア人はいみじくも「こうのとりの親子相愛」と読んでいます。その上に、血縁関係や婚姻の絆が加わりますし、さらに天性が似通っていたり好みが共通だったり、また、姿形が似ていると言うことが、親愛の情の確かな結び役として加わってきます。こうして相愛に駆り立てる不可思議な衝動、魂のひそやかな訴えが多くの人びとに立ち現われるのです。驚嘆した古代人たちは、この感情を神の意志〔あるいは精霊〕のせいにしています。
    --エラスムス(箕輪三郎訳)『平和の訴え』岩波文庫、1961年、22-23頁。

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最近、ねつ造された「公共」なるものの桎梏がますます強固されようとしていることを実感する。

いやな言い方だけど、90年代末頃よりミスリードされた……要するに本来国家や公共が負担すべき責任を隠蔽するために“翻案”された作業仮説にしかすぎない……「自己責任」の追求が度を増すにつれ、結果としてはそれへの脊髄反射から、自己を守るために……それはそれで必然なんですが……人々の関心が「公共」なるものから離反していく傾向を帯びてしまった。

自己を守るためことは必要不可欠です。
しかし過度のリソース傾斜は、本来、お互いに関わるべき事案を見落とすこととなってしまう。

本来「公共」とは、誰かが用意するものではなく……もちろんたたき台としてはありえるでしょうが……人々が「共」にその枠組みを創造していく概念であり、道具にしかほかならない。

しかし、過度の自己防衛が公共への関心を喪失していく中、次のような議論も出てくる。

即ち、公共性がない個人主義的・利己主義的連中で街が横溢するようになってしまった……いまこそ協同連帯の回復だ! そして悪しき個人主義が公共を台無しにするようであれば、制限されてもやむを得ずっておまけまでついてきてしまう始末。

いや、たしかに、人間は個の世界だけで生存することは不可能だから、公共(全体との関わり)は必然してしまう。だから、協同連帯の回復を計ることは必要だとは思う。

ただしかし、そこで出てくる「公共」なるものの枠組みが、国家や保守系知識人の用意した、そして使いふるされてかびくさい「排他主義的強制紐帯」というものだから、まあ、うさんくささと同時にきな臭さも感じてしまうわけ。

先に言及したとおり、上から目線クラスタで準備適用すると必ず失敗するのが「公共」なるもの。だから、みんなで議論して検討して立ち上げていきませんかって試み……結果としては失敗というか中断しているのだけど……として「新しい公共」円卓会議なるものも立ち上がったのは記憶に新しいところです。

まあ、だから「これでいけよ、おまえ」って言われてもにわかに「はい、そうですか」とも言えないわけですが、ここ10年の経緯を振り返ってみると、実はそこへ誘導するための罠、すなわち、

①自己責任強調論
②紐帯のゆるみ
③反動としての用意された「“新しくない”公共」の高調w

……って筋道が描かれていたのではないの???って思うのは多分僕一人だけではないんだろうなぁとは思うわけですが・・・。


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