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覚え書:「異論反論 どう見る? オフレコ懇談報道 寄稿=佐藤優」、『毎日新聞』2011年12月7日(水)付。 + 『琉球新報』報道

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異論反論 どう見る? オフレコ懇談報道 寄稿=佐藤優

国民の知る権利考量せよ

 11月28日夜、那覇で行われた報道関係者とのオフレコ懇談の席上、田中聡沖縄防衛局長が米軍普天間飛行場の移設先の環境影響評価(アセスメント)の提出時期を一川防衛大臣が明言していないことについて、「犯す前に犯しますよと言いますか」と発言していたことが、翌29日の琉球新報の報道関係者で明らかになった。一部の新聞や有識者は、琉球新報のオフレコ破りを批判するが、この批判は間違っている。
 筆者自身、外務官僚だったときにオフレコ懇談を行ったことが何度もある。オフレコ懇談は、酒席での放言ではない。報道されないことを前提に、踏み込んだ情報を提供し、政府の政策に対して理解を求める公務なのである。オフレコ懇談は真剣勝負の場だ。ここで発信を誤ったならば、国益を毀損することになる。オフレコ懇談でも、仮に記者が約束を破り、記事にしたならば国益にどのような影響があるかを頭の片隅に置きながら官僚はオフレコでの情報を提供するのである。
 オフレコにもさまざまな形態がある。ほんとうに機微に触れて話をするときに、官僚は1対1のオフレコで懇談をする。田中氏が行ったような約10社が参加するような懇談は、冒頭で「完オフ(完全オフレコ)です」と言っても、実際はオフレコに参加した記者がその内容をメモして、会社に報告sることを前提にしている。業界常識においては、縛りの緩いオフレコ懇談だ。しかも、そのメモが政治家に流出することもよくある。官僚はそれを織り込んだ上で、この種の完オフ懇談を通じて、政治家にメッセージを流すことがよくある。官僚がオフレコ懇談を行うのは、メディアに対する純然たるサービスではなく、省益にとってこのような形態での情報伝達が役に立つからである。

沖縄防衛局もノーコメントが筋だ
 マスメディアの仕事は、国民の知り権利に奉仕することだ。オフレコ懇談の内容を報道することによって、情報源(並びに情報源が所属する組織)との信頼関係が崩れ不利益を被るリスクと国民の知る権利への貢献を比較考量し、後者の方が圧倒的に重ければ、真実を報道することがマスメディアの職業的良心だ。
 しかも、琉球新報は、不意打ちで報道したのではない。沖縄防衛局にオフレコ懇談の内容を報道すると通告した。それに対し〈沖縄防衛局報道室は「(懇談は)オフレコだ。発言は否定せざるを得ない」とした上で、「(公表すれば)琉球新報を出入り禁止することになる」と警告してきた〉(11月30日琉球新報)。オフレコなので否定するという沖縄防衛局の対応は、誤りだ。オフレコ発言が報じられても、事実ならば否定してはならない。あくまでノーコメントで通すのが筋だ。うそをついてはならない。

さとう・まさる 1960年生まれ。作家。「鈴木宗男・前衆議院議員が刑務所から仮釈放になりました。私たちが鈴木氏を北方領土交渉に巻き込まなければ、こんな事態になりませんでした。申し訳なく思っています。鈴木氏のバイタリティーを日本のために何とか生かせないかと願っています」
    --「異論反論 どう見る? オフレコ懇談報道 寄稿=佐藤優」、『毎日新聞』2011年12月7日(水)付。

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佐藤優(1960-)が異論反論で言及している11月30日付『琉球新報』報道は以下の通り。


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「知る権利」優先 本紙、オフレコ懇談報道 2011年11月30日
 米軍普天間飛行場の移設問題に関する田中聡沖縄防衛局長の県民を侮辱した問題発言は28日夜、那覇市内で開かれた報道陣との非公式の懇談会であった。関係者の発言内容について記録、報道しないことを前提とした「オフレコ」形式の懇談だったが、琉球新報は読者に伝える責任があると判断して報道に踏み切った。識者はオフレコの原則よりも「国民の知る権利が優先される」と指摘する。
 懇談会は各社負担する会費制で、県内外の9社の記者が参加した。午後8時ごろから始まった懇談は、テーブル中央に座った田中局長を記者が取り囲み、飲食を伴いながら、基地問題について意見を交わした。
 政府が年内提出を予定する環境影響評価(アセス)の評価書提出問題に話題が移った時、本紙記者が「政府はなぜ『年内提出する』と明言しないのか」と問いただした。すると、田中局長は女性を乱暴することに例えて「これから犯す前に『犯しますよ』と言いますか」と応じた。田中局長は、1995年の少女乱暴事件後に、「レンタカーを借りる金があれば女が買えた」と発言し更迭されたマッキー米太平洋軍司令官(当時)の発言を自ら話題にし、肯定する言いぶりもあった。
 公表を前提としないオフレコ内容を報道したことについて、沖縄防衛局報道室は「(懇談は)オフレコだ。発言は否定せざる得ない」とした上で、「(公表すれば)琉球新報を出入り禁止することになる」と警告してきた。
 専修大学の山田健太准教授(言論法)は「メディアはオフレコを守る信義則はあるが、国民の知る権利はそれに優先される」と指摘。「全ての取材は報道する目的で取材するのが原則だ。公人がメディアに対する時、その後ろにいる国民に対して説明責任を果たす認識が必要だ。公共・公益性があると判断した場合、メディアは報道する原則に戻るのが大前提となる」と話している。
    --「『知る権利』優先 本紙、オフレコ懇談報道」、『琉球新報』2011年11月30日(水)付。

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