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覚え書:「米保守革命:第2部・福音派の力」、『毎日新聞』まとめ

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米保守革命:第2部・福音派の力/上 共和党指名争い第1弾、アイオワ州


 米大統領選の共和党の候補者選びが来年1月3日の中西部アイオワ州の党員集会から正式に始まる。保守的な土地柄のアイオワ州などでは、人工妊娠中絶への反対などを掲げるキリスト教右派の福音派の影響力が大きい。保守派候補にとって、いかに支持を取り付けるかが勝敗を分ける。「米保守革命」第2部では、予備選の行方を左右する福音派の動向を現場から報告する。【デモイン(アイオワ州)で古本陽荘】

 ◇「神の言葉」への忠誠 キリスト教右派、結束固める
 デモイン郊外にある多目的ホール。今年10月、約1000人のキリスト教関係者が州内各地から集まった。

 「現在の指導者(大統領)は国を堕落に導いています。父なる神よ。どうか真のキリスト教徒である指導者が当選するよう、お助けください。あなたの言葉に従って国を導く指導者が必要です。アーメン」

 牧師が呼びかけ、参加者全員が祈りをささげる。会場では大統領選と宗教が分かちがたく結びついていた。集会は「アイオワ信仰と自由の連合」というキリスト教右派の非営利団体が共和党大統領候補を招いて開いた演説会だ。参加者は「福音派」と呼ばれるキリスト教右派の信者のうちアイオワ州内で政治的な発言力のある大立者たちだ。

 集会には後に撤退表明した黒人実業家のハーマン・ケイン氏も含め6人の大統領候補が駆け付けた。民主党のオバマ大統領が容認した妊娠中絶や同性愛者同士の結婚に自分がどれだけ反対してきたかを力説し、「我こそ福音派の価値観を体現している」と競い合った。ギングリッチ元下院議長やサントラム前上院議員らは集会閉幕まで残った。

 なぜ大統領選で宗教が大事なのか--。集会に参加していた外科医のニール・ソーカルさん(52)は「アメリカは多民族国家だが、キリスト教の原理で建国された国家だ。大統領になる人は本当のキリスト教徒でなければ駄目だ」と即答した。

 福音派は教派を横断する形で価値観を共有するキリスト教右派と理解されている。聖書の内容を「神の言葉」として信じていることが特徴だ。世論調査会社ピュー・リサーチ・センターが07年に実施した調査によると、福音派と分類される教会に所属しているのは米国民の26・3%だった。

 しかし、「アイオワ信仰と自由の連合」によると、08年の共和党アイオワ州党員集会に参加した有権者の55~60%が出口調査で自らを福音派と名乗った。共和党予備選の出口調査結果を入手した26州の平均でも参加者のうち44%が福音派だったという。共和党の予備選に及ぼす影響力は大きい。

 福音派はブッシュ政権の1期目に政治的な影響力を拡大し、ブッシュ氏の再選をもたらした。だが、その後、福音派団体間の対立などで勢いが衰えたと見られていた。それが今、オバマ政権への反発を軸に結束し、息を吹き返している。

 「オバマ政権は社会主義への道を歩んでいる。『政治活動に参加しなければ手遅れになる』という人々の危機感が我々の活動を後押ししている」。「アイオワ信仰と自由の連合」のスティーブ・シェフラー代表が語る。

 福音派は伝統的な保守市民団体にとどまらず、財政面で「小さな政府」を求める保守系草の根運動「ティーパーティー(茶会運動)」との連携も深めている。大統領選に向けて「反オバマ」の旗印の下、保守派の糾合が進む。いきおいづく福音派がその「保守連合」の中核をなしている。

ことば 福音派 聖書の記述を「神の言葉」とあがめ、誤りがないと信じるキリスト教の教会・信徒。イエス・キリストの教えである「福音」を社会に広める。人間は神によって作られたとの立場から、人工妊娠中絶、同性愛者同士の結婚に反対し、政治・宗教的な立場は保守的で、共和党支持者が多い。
    --「米保守革命:第2部・福音派の力/上 共和党指名争い第1弾、アイオワ州」、『毎日新聞』2011年12月27日(火)付。

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http://mainichi.jp/select/world/news/20111227ddm007030143000c.html


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米保守革命:第2部・福音派の力/中 モルモン教巡り分裂 信徒ロムニー氏を不支持の動き


ホテルで開かれた対話会合を終え、祈るキリスト教福音派とモルモン教の指導者=米サンフランシスコで
 ◇州で温度差、連携模索も
 「互いの相違を乗り越え、対話で理解を深められますように」。11月20日、米西部サンフランシスコのホテル。会議を終えたキリスト教関係者二十数人が黙とうの後、祈った。

 会議室の入り口に掲げられた集会案内はありふれた「聖書セミナー」。だが、実際は、キリスト教界で対立してきた右派の福音派と末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)の指導者による対話会合だった。モルモン教は聖書とは別に独自の聖典「モルモン書」を持ち、聖書を唯一の規範とする福音派から異端視されてきた。

 米大統領選の共和党候補のうちロムニー前マサチューセッツ州知事とハンツマン前駐中国大使の2人はモルモン教の信徒。これを念頭に福音派の牧師が10月に「モルモン教はカルト集団だ」と批判した直後で、福音派とモルモン教徒の間には波風が立っていた。

 福音派参加者は会合で「カルト発言は公式見解ではない」と弁明したという。「双方は人工妊娠中絶や同性愛者同士の結婚への反対で一致する。オバマ大統領の再選を阻止するために団結すべきだ」。会合後、カリフォルニア州の神学校長で福音派指導者のリチャード・モウ氏が語った。

 対話はモルモン教徒が人口の6割を占める西部ユタ州で01年に始まり、今年3月には全国福音主義協会幹部80人が州都ソルトレークシティーを初訪問した。「『家族の価値観』を共有する仲間としての信頼がここ数年で深まった」。ユタ州の福音主義協会幹部、グレッグ・ジョンソン氏(45)が指摘する。08年にはカリフォルニア州住民投票で協力し同性婚禁止案を可決へ持ち込んだ。

 だが、サンフランシスコでの対話会合の翌21日、中西部アイオワ州のデモインでは溝の深さを浮き彫りにする出来事があった。福音派指導者約20人が来月3日の党員集会で「オバマ大統領に勝てるロムニー氏以外の候補者」を支持する方針を確認したのだ。福音派が「ロムニー氏降ろし」に動き出した格好だ。

 ロムニー氏はキリスト教右派の非営利団体「アイオワ信仰と自由の連合」が10、11月に開いた福音派信徒と共和党各候補の集会を欠席した。団体のスティーブ・シェフラー代表は「議論を恐れて逃げた。保守政治家としての資質にも疑問がある」と手厳しい。

 これに対して福音派のコラムニスト、ナンシー・フレンチさん(36)はロムニー氏の地盤・米東部で05年から支援のウェブサイトを運営する。「他に有力候補はなく、いずれ福音派はモルモン教徒を認めざるを得なくなる」。ロムニー氏はアイオワ州で排除されたとしても、東部で巻き返すと読む。

 福音派が多い中西部などではモルモン教への敵対心が根強い。一方、相対的に福音派の影響力が弱い西部や東部では対話や支援の動きがある。対立か、連携か--。共和党の候補選びが本格化する中、福音派はモルモン教への対応で内部分裂を抱えている。【サンフランシスコで堀山明子】
    --「米保守革命:第2部・福音派の力/中 モルモン教巡り分裂 信徒ロムニー氏を不支持の動き」、『毎日新聞』2011年12月28日(水)付。

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http://mainichi.jp/select/world/news/20111228ddm007030004000c.html


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米保守革命:第2部・福音派の力/下 影響誇示する大学、共和候補が続々訪問

 ◇モノ言う新指導者
 ワシントンから車で南西に3時間半。米南部バージニア州の緑深いシェナンドー国立公園のふもとにリンチバーグという町がある。林を抜けると突然、フットボールスタジアムやドーム形のホールを擁する近代的な建物が姿を現す。

 キリスト教右派・福音派のテレビ伝道師だった牧師の故ジェリー・ファルウェル氏が設立した「リバティー大学」だ。ファルウェル氏は1950年代後半から各地のテレビで、教会での日曜礼拝の様子を放映し、絶大な人気を博した。全米を回るバスツアーにはリバティー大学の学生も動員された。

 大統領選が近づくにつれ、そんなリバティー大学に共和党の大統領候補が次々と足を運ぶようになった。現在の候補者7人のうちギングリッチ元下院議長、ペリー・テキサス州知事ら4人のほか、撤退表明した黒人実業家のハーマン・ケイン氏や、結局は出馬を見送ったペイリン前アラスカ州知事も訪れた。

 リバティー大学に通学している学生は1万2560人だが、インターネットのオンラインで学ぶ在宅生6万1000人を含めると学生数は7万3000人を超す。非営利の4年制大学としては「全米最大」が売り物だ。

 創設者のファルウェル氏は人工妊娠中絶などに反対を唱え、政教分離の姿勢を強く打ち出したカーター米政権時代(1977~81年)と前後して、政治へのかかわりを深めていくようになった。そのカリスマ性と知名度が福音派の勢力拡大に寄与したと言われている。

 現学長は創設者の息子で元弁護士のジェリー・ファルウェル・ジュニア氏(49)。大統領候補のバックマン下院議員が9月に演説した際、「来てくれてありがとう」と報道陣に語りかけてきた姿に父のようなカリスマ性は感じられなかった。堅実なビジネスマンという雰囲気だ。

 なぜ、大統領候補を大学に呼ぶのか--。そう質問を投げかけられると、「レーガン元大統領もここで演説した。政治家が来ることが学校の伝統だ。それが学生たちがこの大学を選ぶ理由になっている」と共和党に及ぼしている政治的な影響力の大きさを誇示した。

 福音派の若手指導者としてはラルフ・リード氏(50)も知られる。著名なテレビ伝道師のパット・ロバートソン氏(81)に目を付けられ、ロバートソン氏が創設した福音派の連合組織「クリスチャン連合」の事務局長に就任した。事実上の後継者と言える。現在は福音派の政治参画を促すキリスト教右派の非営利組織「信仰と自由の連合」の全国代表だ。

 福音派で進む世代交代。「かつて福音派は『政治は汚いものであり、現世のことしか気にかけない』と考え、政治から距離を置いた。だが、新世代は『政治にはモノを言うべきだ』と感じて育った」。宗教と政治を研究するアクロン大学(オハイオ州)のジョン・グリーン教授(政治学)が解説する。来年11月の大統領選に向け、台頭する福音派の新指導者たちは政治への関与をますます強めることになりそうだ。【リンチバーグ(米バージニア州)で古本陽荘】
    --「米保守革命:第2部・福音派の力/下 影響誇示する大学、共和候補が続々訪問」、『毎日新聞』2011年12月29日(木)付。

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http://mainichi.jp/select/world/archive/news/2011/12/29/20111229ddm007030116000c.html

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