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覚え書:「風知草:枝野と鈴木貫太郎=山田孝男」、『毎日新聞』2012年2月6日(月)付。

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風知草:枝野と鈴木貫太郎=山田孝男

 枝野幸男経済産業相(47)が最も高く評価している首相は鈴木貫太郎だそうだ。最近出た雑誌「g2」(講談社)のインタビューで自ら語っている。口達者な弁護士閣僚と、寡黙で仙人めいた軍人老宰相。この取り合わせは面白い。
 鈴木は日本が第二次大戦に負けた時の首相である。鈴木は戦争を終わらせた。枝野は何を終わらせるのか。
 先週末、枝野に直接確かめると、「近代でしょう」と即答した。近代って? 「規格大量生産の社会」。原発を終わらせることとは違う? 「原発がメーン(の課題)ではない。むしろ省エネがポイントです」。枝野はそう言った。

 「g2」のインタビューは20ページに及ぶ。政権交代への幻滅、エネルギー政策、憲法、小沢一郎と話題は多岐にわたるが、全編を貫くキーワードは「脱近代」である。観念的と言えば観念的。インタビュアーの薬師寺克行東洋大教授(元朝日新聞政治部長)が、さまざまな突っ込みを入れている。

 --近代化とは?
 枝野「経済成長のもとで、物を他国に売って豊かになっていくプロセスです」
 --民主党が批判している格差拡大や非正規雇用の増加はそうした(=近代化継続の)矛盾の表れですか?
 枝野「近代化を成し遂げた国は、新たに近代化する国に追いかけられ、(新興国と)同じ土俵で競争すれば社会が悪くなっていく。小泉(純一郎)さんがやったことがそれ。こうした問題は『ポスト近代』の社会システムをつくることで克服すべきだと思う」……。
 似ても似つかぬ2人だが、見方によっては共通点がある。国の重要政策を左右するキーパーソンだが、ハラの内は読めないというところだ。
 鈴木は第二次大戦末期の1945(昭和20)年4月、首相になった。当時、内閣は和平派閣僚と抗戦派閣僚の呉越同舟だった。海軍出身の鈴木は本心を明かさず、抗戦派の顔を立てながら、巧みに和平へ導いたというのが通説である。
 枝野はどうか。この人はつまるところ脱原発なのか、原発維持なのか。脱原発派も、原発維持派も、枝野の本心を読み解こうと一生懸命だ。
 全国54基の原発は順次定期検査に入っており、このままなら4月末に全部止まる。枝野は自治体に再稼働容認を働きかけるかと思いきや、「原発ゼロでも大丈夫」と言わんばかりの新聞インタビュー(朝日新聞1月27日朝刊)が出た。
 「心情としては、再稼働に限りなく慎重であるべきだという主張に近い」という発言(1月18日記者会見)もあった。その枝野は、同時に、原発輸出を容認し、新成長戦略の旗を降ろさぬ枝野でもある。
 枝野も、民主党政権も、矛盾と混乱のまっただ中にいる。そこを突かれると、枝野は切り返した。「明治維新も混乱期だった。混乱そのものが問題なのではなく、次の時代の建設に向かう動きかどうかということが本質だと思います」
 枝野が鈴木の名を持ち出したのは、「自分は今は首相を目指していない」と強調するくだりだった。鈴木は敗戦間近、重臣の推挙と天皇の説得で渋々、内閣を率いた。「時代から求められた人が首相になるべきで、そういう人が大きな仕事をするんですよ」と枝野。 時代は枝野を呼び出すだろうか。(敬称略)
    --「風知草:枝野と鈴木貫太郎=山田孝男」、『毎日新聞』2012年2月6日(月)付。

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