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覚え書:「経済観測 自由と牢獄=埼玉大学大学院客員教授 水野和夫」、『毎日新聞』2012年2月23日(木)付。

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経済観測 自由と牢獄
埼玉大学大学院客員教授 水野和夫

 「私たちはみな牢獄のなかにいる」と、グローバリゼーションの負の側面を早くから指摘してきた政治経済学者、スーザン・ジョージは言った(2010年)。古代ギリシャ以来、人類は常に「自由」を求めて闘ってきた。だが「所得格差の大きい国ほど人々は互いに信用しない」(R・ウィルキンソン「格差社会の衝撃」であり、社会関係は敵対的となる。
 米国では上位1%の人が所得(配当・利息収入などを含む)の23・5%を占めるようになった。1953年から79年まで10%で安定していたが、その後急上昇している。日本も例外ではない。所得上位5%の人の所得(同)の25・3%を占めるようになり、77年の19・5%から上昇傾向に転じている。
 R・ウィルキンソンは「不平等が増すにつれて、相互扶助の協力的な戦略から遠ざかり、力と侵略に基づく競争的な優位戦略に近づいていく」と言う。新自由主義の始祖である経済学者のハイエクは、一つの問題を解決しようとすれば競争か中央統制のどちらかを選ばざるをえないとして、「真の自由主義に『中庸の道』はない」と主張した。しかし、73年のチリ・クーデターを境に新自由主義を選択した西側諸国は、強いストレスと多数の自殺者が出る社会になった。
 高所得層にもストレスが高まり、不健康となるのだから、自由を極端に求めた結果、まさに現代社会はスーザン・ジョージが言う「牢獄」に入れられたことになる。不平などの拡大は社会の同質性をなくし、同質性の上に成り立つ民主主義を機能不全にさせる。同時に二極化が合意形成を困難にさせ、公開制と討論という原理の上に築かれた自由主義の政治手法に依拠する議会主義をも危機に陥れている。
    --「経済観測 自由と牢獄=埼玉大学大学院客員教授 水野和夫」、『毎日新聞』2012年2月23日(木)付。

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