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書評:アマルティア・セン(池本幸生訳)『正義のアイデア』明石書店、2011年。

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時間がないのでブクログに書いた短評ですいません。

書評:アマルティア・セン(池本幸生訳)『正義のアイデア』明石書店、2011年。

 経済学の文脈で「正義」を構想できるのはアマルティア・セン(Amartya Sen,1933-)をおいては他にはいないだろう。制度設計論に集約されていく伝統的な正義論を「先験的制度尊重主義」を批判する氏の主論は本書でもクリアカットに示されている。

 センが注目するのは「正義」よりもむしろ世界にあまねく「不正義」の実在ということだ。飢餓や差別といった課題に対し、解決のためのアイデアを示すのが、「正義の実践」であると主張する。概念としての正義が現実を規定するのではなく、現実世界から正義を構想するというものの見方は、制度設計により解決は可能と考える西洋の伝統的な正義論を撃つだけでなく「正義」をどのようにとらえるのかという私たちのものの見方を転換してくれる。

 さらにその批判の眼差しは、正義を効用だけで評価するこれまでの「はかり方」へも向けられ、構想にとって情報提供となりうるメディアの責任にも重く見ている。

教典に示された正義を履行するのではなく、正義を実践する勇気を現実のなかでのどのように展開していくのか--。

非常に示唆に富む一冊だ。なお、翻訳もなかなかすばらしい出来あい。

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