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書評:村岡健次『イギリスの近代・日本の近代―異文化交流とキリスト教』ミネルヴァ書房、2009年。

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宗教に軸足を置きながら、日本の西洋化の過程と問題に鋭く迫るユニークな一冊。

村岡健次『イギリスの近代・日本の近代―異文化交流とキリスト教』ミネルヴァ書房、2009年。

同じ島国として対比されるのがイギリスと日本。このふたつの国に関する比較文化論は盛んだが、どこか眉唾ものが多いのも事実だろう。しかし本書は本格的な比較史的論考である。イギリス近代史を専門とする著者が、自分自身の問題として日本の近代化をイギリスのそれと対比させて考察する。

日本に限らず、19世紀後半から20世紀にかけて遂行された「近代化」とは、異文化受容の歴史に他ならない。技術の受容だけが「近代化」ではないからだ。日本は様々な文物を西洋諸国から吸収したものの、「洋魂」の宗教に関しては「違和感」をもって対峙したのが特徴的である。

キリスト教の再渡来は明治以降本格化する。しかしその信徒数は、明治期のそれと現在も変わらずほぼ横ばいというのが実状だ。いわゆる「1パーセントの壁」がそれである。筆者は、その原因を「文化接触の違和感」に見出す。すなわち日本人の精神風土としての宗教認識が、外来のキリスト教への違和感として示され、積極的受容を拒んだ。

筆者は神社の家庭に生まれ、長じてからキリスト者になったという。日本に根付く宗教文化の伝統、そして異なるものを受容する過程というのは、筆者自身の「ことがら」でもあった。考察そのものは、平凡なきらいがなくもないが、説得力のある論考である。

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